京都の会議「全世代に
感染拡大 感染経路も多岐」

東京都は、新型コロナウイルスの感染状況などについて分析・評価する会議を開き、現在の状況について、すべての世代に感染が広がっているうえ、感染経路も多岐にわたっているなどとして、引き続き、4段階ある警戒のレベルのうち最も深刻な表現としました。

東京都は30日午後、都内の感染状況と医療提供体制を分析・評価する「モニタリング会議」を開きました。

この中で、「感染状況」について29日までの1週間の平均で新たな感染の確認が前の週のおよそ1.1倍の258.1人となり、減少の兆しがみられないほか、感染経路が分からない人も154.0人で、前の週の1.3倍近くに増えていることなどが報告されました。

また専門家は、感染が若者に限らずすべての世代に広がり、感染経路も施設、同居、職場内など多岐にわたっているほか、会食で感染した人の割合が大幅に増えていると指摘しました。

こうした状況を踏まえ、現在の状況について引き続き「感染が拡大していると思われる」として、3週連続で4段階あるレベルのうち最も深刻な表現としました。

専門家は「飲み会や宴会など、複数人で飲食をする機会が増えているためと考えられる。このような環境をいかに避けるかということが、新規陽性者数の減少につながる」と述べました。

一方、「医療提供体制」については、29日の時点で、入院患者が1106人と先週のおよそ1.2倍に増えたほか、重症の患者は22人と中高年層を中心に増え続けていることが報告されました。

そして、4週連続で4段階あるレベルのうち、上から2番目の「体制強化が必要であると思われる」となりました。

専門家は「第1波と異なり、新規の感染が徐々に増加する状況が長期間継続し、収束の兆しがみえない中、医療従事者の緊張が続いている」と指摘しました。

都内の感染状況 専門家の判断

都内の感染状況について、引き続き4段階ある警戒レベルのうち最も深刻な表現とした理由について、専門家は全世代に感染が広がっていて新たな感染の確認と感染経路の分からない人の増加が続いていることをあげました。

このうち、新たな感染の確認は29日までの1週間の平均で258.1人となり、前の週のおよそ1.1倍となりました。

年齢別では、今月27日までの1週間で
▽20代が38.4%、
▽30代が24.5%で合わせておよそ6割を占める一方で、
▽40代と50代が23.1%と、前の週より3%増えるとともに、
▽60代以上の年齢層にも拡大しているとし、全世代に感染が広がっていると指摘されました。

また、感染経路は、施設内や家庭内、職場、それに会食など多岐にわたっているとしたうえで、特に、症状のない人が感染を広げている可能性があるとしています。

このうち、会食で感染した人は28日には22.2%と1週間前と比べて14.5ポイント増えていて、飲み会や宴会など複数人での飲食をする環境を避けることが新たな感染者を減らすことにつながると指摘しています。

また、家庭内での感染は28日までの1週間平均でおよそ12%と、夜間営業する接待を伴う飲食店での感染のおよそ10%を上回っています。

さらに、高齢者施設や病院など重症化のリスクがある施設では、症状のない職員を発端とした感染がみられていると報告したうえで、大規模なクラスターを防ぐためにも、施設内での対策の徹底と症状の軽い人でも検査が受けられるような体制の拡充が必要だとしています。

このほか、感染状況を地域別にみると、島しょ部をのぞく都内全域に広がっているとしています。

また、感染経路が分からない人は、29日までの1週間の平均で154人で、前の週の1.3倍近くに増え、このままのペースで4週間増え続けると、今のおよそ2.1倍の1日当たり323人程度となり、さらに4週間続くと現在のおよそ4.3倍、1日当たり662人程度となるなどと指摘して、強い危機感を示しました。

都内の医療提供体制 専門家の分析

都内の医療提供体制について、専門家は、入院患者と重症患者の数に増加の兆しが見られるなどと指摘しました。

医療提供体制を分析する項目のうち、「陽性率」は、29日までの1週間の平均が6.5%で、前の週と変わりません。

また、入院患者は29日の時点で1106人で、21日と比べて1.2倍となりました。
新たに感染した人を1日当たり100人以上、感染が疑われる人は100人から200人、入院患者として受け入れているため、医療機関の負担が深刻だとしています。

そして、保健所が患者を入院させるにあたり、管内の病院で受け入れ先が見つからず、都に調整を依頼する件数は、今月21日以降、毎日100件を超えていて、入院の調整が難航しているとしています。

また、いわゆる第1波の時と異なり、新たに感染が確認される人が増え続けていて、収束の兆しが見えないため、医療現場の緊張が続いていると報告されました。

さらに、今月27日までの1週間で感染が確認された人のうち、無症状の人は全体のおよそ16%いて、こうした人たちに療養してもらうためのホテルを、都は次々に借り上げていますが、ホテルに常駐する医師などの確保に苦労していると報告されました。

このため、ITを使った健康観察や食事、日用品を宅配するなどして、安全な自宅療養を検討すべき時期にきていると指摘されました。

さらに、29日の重症患者の数は、およそ1週間前より8人増えて22人となり、重症化リスクの高い中高年層を中心に増え続けているとしています。

重症患者は、新たな感染確認が増えたあと、しばらく遅れて増え始めるため、重症患者の増加は、急速な感染拡大の予兆と捉えるべきだと指摘されました。

このため、集中治療室などの病床を重症患者が占有する期間が長くなることを念頭に置いて、病床を確保することが必要だとしています。

このほか、消防の救急隊が複数の医療機関に患者の受け入れを要請したものの搬送先が見つからない場合、地域の中核病院などが代わりに搬送先を探す「東京ルール」が適用された件数は、29日までの1週間の平均が、前の週のおよそ1.5倍に増えています。