論島 人口5000人の
島でクラスター 緊迫続く

鹿児島県最南端の離島 与論島では新型コロナウイルスの感染が相次いで確認されています。与論町長が緊急のメッセージを発して、島外からの来訪の自粛を強く呼びかけているほか、鹿児島県知事も自衛隊に災害派遣要請を行って感染者の移送を続けるなど、限られた医療体制の中で緊迫した対応が続いています。

与論島は隆起珊瑚礁でできた周囲23キロほどの島で、人口は5000人余りですが、年間6万人から7万人が旅行客として訪れています。

与論町では24日までの3日間に23人の感染が確認されました。

感染した人のうち島で唯一の総合病院である「与論徳洲会病院」に看護師として勤務している20代女性の感染も明らかになっていて、鹿児島県の調査では、この女性が会食をした複数の知人や勤務先の病棟の患者に感染が広がっています。

県はクラスターが発生したとして詳しく調べています。

鹿児島県の三反園知事は24日、厚生労働省に対し、クラスター対策班の派遣を要請したことを明らかにしました。

与論徳洲会病院は、病院内の消毒など必要な措置を取ったうえで患者のケアや診療を続けていますが、当分の間、急患以外の外来診療を休止し、感染の疑いのある患者の診療をドライブスルー方式に切り替えて対応するなどしています。

また、この病院は感染症指定医療機関にはなっておらず、感染した患者に対応できるのは4床だけだということです。

与論島の感染した23人のうち、これまでに17人が海上保安庁や自衛隊の航空機を使って県本土や奄美大島の医療機関へ移送されました。

与論町の山元宗町長は町のホームページなどで緊急のメッセージを出しました。

山町長は、医療体制がぜい弱な地域だとして、島外の人に対し当面訪問を自粛するよう強く呼びかけています。

町民に対しても、医療機関への受診、職場への出勤、買い物など必要最小限の活動を除いて外出を自粛するよう要請しています。

山町長はNHKの取材に対し「高齢者が多い人口5000人ほどの島でこれだけの感染者が出たことは、割合からみて非常に恐ろしく危機感を持っている。観光の島として来ていただいた方を温かく迎え入れることをずっと大切にしてきたが、今だけは島民と来島者の命を守るために我慢してほしい。感染拡大の防止に向けて関係機関と連携しながら全力を尽くしていきたい」と話していました。