症日ごとの人数データを
初公開 新型コロナウイルス

新型コロナウイルス対策の政府の分科会で、感染の状況を正確に分析するために必要とされる患者の発症日ごとの人数を示したデータが緊急事態宣言の解除後、初めて公開されました。専門家は現在の状況について「爆発的な感染拡大には至っていないが、徐々に拡大している」と評価し、政府に対して基本的な感染対策の徹底をさらに呼びかけるなどの対応を求めました。

感染者数のデータは、感染が確定した人数を各自治体が連日、発表していますが、報告の遅れなどによって日ごとの数が上下するため、感染状況の正確な分析には、患者が発症した日ごとのデータが必要とされています。

22日の分科会では、緊急事態宣言の解除後、初めて、このデータが示されました。

発症者が対象のため、無症状の人は含まれませんが、たとえば東京では、患者数は感染が確認された日ごとのデータで見るより、数日早く、5月下旬から増え始め、今月上旬以降は150人を超えるなど数は多いものの、増え方は3月から4月にかけて感染が拡大したときのほうが急になっています。

専門家は、全国の状況を分析したうえで、現在の感染状況について感染者の8割以上は二次感染を起こしていない一方、3密の環境では数十人単位のクラスターが起きていて、中高年への感染拡大が懸念されるとしています。

そのうえで、「爆発的な感染拡大には至っていないが徐々に拡大していて、増加している地域では社会経済に十分配慮したうえで実効ある対策が求められる」と評価しました。

そして、政府が現時点で取り組むべき対策として、病院や福祉施設などでのクラスターの防止や早期封じ込め、3密を避けるなど基本的な感染予防対策の徹底を求めました。

また、医療体制については、ひっ迫する状況ではないものの重症者の数は感染者数が増加した20日ほど後に増加する傾向があるとして、早急に病床や宿泊療養施設の確保に取り組むことが必要だとしています。

分科会の尾身茂会長は記者会見で「今回はより適切なデータをもとに、状況の分析や対策について提案できた。爆発的感染にならないとも限らないので、政府には速やかに対策を実行に移してもらいたい」と話しています。