Go Toキャンセル料
補償 東京除外に伴う措置で

22日から始まる観光需要の喚起策、「Go Toトラベル」で東京を割り引きの対象から外したことに伴うキャンセル料について、赤羽国土交通大臣は旅行者がキャンセル料を支払わずにすむようにするとともに、旅行会社に損害が生じた場合は政府として補償することを明らかにしました。

22日から始まる「Go Toトラベル」をめぐって政府は、新型コロナウイルスの感染者が増加していることからすでに予約された分を含めて東京都を目的地とする旅行と都内に住む人の旅行を割り引きの対象から外しました。

これに伴って旅行を予約した人がキャンセルした場合の対応について、赤羽国土交通大臣は、21日の閣議のあとの記者会見で「キャンセル料の扱いについて十分な周知がされなかったと判断し、キャンセル料を支払わなくてよいこととし、その旨を旅行会社などに徹底する」と述べ、旅行者がキャンセル料を支払わずにすむように対応するとしました。

対象となるのは、キャンペーンの開始日を公表した今月10日から東京を対象外とすることを表明した17日までの間に旅行を予約した人とするとしています。

そのうえで赤羽大臣は「すでに旅行会社がキャンセル料を受け取った場合には、旅行者に返金するように指示する。それに伴う旅行会社の実損分は国が補填(ほてん)する」当初の方針を転換して政府として補償することを明らかにしました。

首相「不利益ないよう対応」

安倍総理大臣は、自民党の役員会で「夏休みシーズンに観光客の足が遠のくことは観光産業にとって死活問題になりかねない。キャンペーンは予定どおり実施することとしたうえで、やむをえず東京発着の旅行については除外とした。これに伴うキャンセル料は、旅行者の不利益が発生しないよう政府としてしっかり対応していきたい」と述べました。

官房長官「利用者や業者に丁寧に説明」

菅官房長官は、閣議のあとの記者会見で「キャンセル料については、国土交通省で実態を見て取らないように業者に要請しているが、実損が出れば、補填(ほてん)する取り扱いとした。あすからスタートするが、政府として、引き続き、利用者や業者の皆さんに内容を丁寧に説明し、感染防止対策を行いながら、うまくキャンペーンを活用してもらいたい」と述べました。

そのうえで、「感染拡大防止と社会経済活動の段階的再開が基本的な方針だ。専門家の分科会での提言でも、東京都以外のGo Toトラベルは、実施しても差し支えないとされており、今後も専門家のご意見を伺いながら適切に運用していきたい」と述べました。

一方、菅官房長官は、都民がほかの県へ旅行することへの見解を問われたのに対し、「体調が悪い方などには、県をまたいだ移動を含め外出を控えていただくとともに、外出する際にも、3密を避けるなど感染防止対策を徹底していただきたい」と述べました。

また、記者団が、神奈川県や千葉県など東京都の近隣県に宿泊して都内を観光する場合は、補助の対象となるのかと質問したのに対し、「東京都以外で宿泊する場合には原則として補助対象となるが、その場合でも旅行商品で都内観光が組み込まれている場合は、補助対象外だと聞いている」と述べました。

東京都旅行業協会「国が負担するのは当然」

政府が「Go Toトラベル」で東京を割り引きの対象から外したことに伴うキャンセル料の補償を表明したことについて、都内の旅行会社でつくる「東京都旅行業協会」の村山吉三郎会長は「国の都合で発生したキャンセル料なので国が負担することは当然だ」と話しています。

村山会長が経営する東京 杉並区の旅行会社「飛鳥旅行」には「Go Toトラベル」の割り引きをあてこんだ予約が6件ありましたが、東京が対象から外されたことを受けて、このうち5件の予約がキャンセルされたということです。

政府がキャンセル料を補償すると表明したことについては、「国が突然、東京を対象から除外したために発生したキャンセル料なので、国が負担することとは当然だ」と話しています。

そのうえで、村山会長は「そもそも説明が二転三転する国の対応に疑問を感じる。キャンペーンは東京だけ除外するのではなく、全国一律で延期するのがベストだったと思う。東京だけが除外されることで、当面、東京発着の旅行がしにくい雰囲気になってしまった」と話し、さらなる客離れにつながりかねないという危機感を募らせています。