院予算委 新型コロナ
対策めぐり閉会中審査

東京都などで新型コロナウイルスの感染の確認が相次いでいる状況について、西村経済再生担当大臣は衆議院予算委員会で「より強い措置も考えないといけない」と述べ、感染防止のガイドラインを守っていない事業者に休業を要請することも検討する必要があるという認識を示しました。

衆議院予算委員会は新型コロナウイルス対策をめぐり閉会中審査を行い、西村経済再生担当大臣と、政府の分科会長で地域医療機能推進機構の尾身茂理事長ら参考人が出席して質疑が行われました。

自民党の葉梨康弘氏は感染防止策について「換気やパーティションといった設備の改善や、マスクの着用や検温など、店舗ごとの対策で感染リスクの軽減は十分可能だ。業種別ガイドラインを順守する店舗を消費者に明らかにし、取り組みを強力に支援することが必要だ」と指摘しました。

これに対し西村経済再生担当大臣は「ガイドラインを徹底し、感染防止策を講じながら経済社会活動との両立を図ることが大事だ。持続化補助金の上限を200万円まで引き上げ、設備の導入を支援しており、活用してほしい。業界団体でも取り組みが進み、各自治体でも認証の仕組みを導入しているので、政府としても幅広く知ってもらえるよう努力したい。新しい生活様式の定着に全力で取り組みたい」と述べました。

公明党の濱村進氏は「この1週間、陽性者数が大きく増加してきているが、緊急事態宣言を発出した時期と現在とでは何がどう違うのか。また、ここ最近の陽性者数と、緊急事態宣言を発出した時期の数を単純に比較することが適切なのか」と質問しました。

これに対し政府の分科会長の尾身茂氏は「単純には比較できない。重症化する人が少なく、医療体制が比較的良くなっているほか、無症状者や、いわゆる夜の街を中心にかなり広範に検査をしている。また、感染の広がりを示すカーブが4月初旬に比べるとやや穏やかになっており、明らかに違う」と述べました。

国民民主党の馬淵元国土交通大臣は、政府の消費喚起策「Go Toキャンペーン」について「経済対策の閣議決定では、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束したあとの一定期間に限定してキャンペーンを実施するとされている。今回行うということは感染の拡大が収束したという判断をしたということなのか」とただしました。

これに対し西村大臣は「観光事業者や旅行者への感染防止策の徹底を基本として開始する予定と聞いている。あす、新型コロナウイルス感染症分科会を開催し、改めて感染状況の分析を頂く予定だ。専門家の意見を国土交通省にもしっかりと伝え、それを踏まえて適切に対応されるものと理解をしている」と述べました。

立憲民主党の本多平直氏は東京都で感染の確認が相次いでいる状況について「対策は早く取らないと効果が出ない。ガイドラインを守っている、守っていないに関わらず、一定の地域の一定の業種に休業の要請をかけ、そこに一定の給付金をしっかり出すべきだ」と指摘しました。

これに対し西村大臣は「やはりこれだけ感染者の数が増えていると、より強い措置も考えないといけないということで、東京都や新宿区と協議を進めている。私は、ガイドラインを守っていないところには休業要請を出すという段階に来ているのではないかと認識している」と述べました。

立憲民主党などの会派の玄葉元外務大臣は検査体制について「社会経済活動を行うための検査のあり方について、戦略方針が定まっていないことに驚いた。感染拡大防止との両立が主眼である以上、検査で安心を与えて経済を回すしかない。いつまでに戦略方針を定めるのか」とただしました。

これに対し西村大臣は「PCR検査や抗原検査を組み合わせながら、検査体制を戦略的に拡充していくことが大事だ。無症状の人でリスクの低い人にどの範囲で実施するべきか、専門家の間でもいろいろと意見があり、あすの分科会で議論してもらう。近々、大きな方針について、特に厚生労働省とよく調整して進めていきたい」と述べました。

共産党の藤野保史氏は「新型コロナウイルスにより外来や入院患者が減り、医療機関の経営への影響が非常に大きい。特に地方では、病院が連携して役割分担をしており、新型コロナウイルスに対応している病院だけを支えればよいわけではない。医療機関の減収をしっかりと補填(ほてん)していくべきだ」とただしました。

これに対し西村大臣は「全国の医療機関から切実な声を伺っている。すでに2次補正でおよそ3兆円の予算を計上し、診療報酬の3倍増や、病床の確保などの支援制度を取っている。私の立場からも地域の医療提供体制がしっかりと継続していけるように厚生労働省と連携して対応していきたい」と述べました。

日本維新の会の杉本和巳氏は、映画館や劇場、ライブハウスなどの感染防止のガイドラインについて「入場者は半分以下に制限され、イベントの主催者などの大幅な減収につながっている。マスクの着用や換気の徹底などを前提として、ガイドラインを見直していく考えはあるか」とただしました。

これに対し西村大臣は「飛まつがどう飛ぶのかや、換気やマスクがある場合とない場合などを、最新のスーパーコンピュータ『富岳』で検証・分析しながら進化させていきたい。ただ新宿の小劇場で集団感染が発生しており、状況も見ながら全体として判断して考えていきたい」と述べました。