ニアで会談 国交次官と
静岡県知事 平行線のまま

協議が難航しているリニア中央新幹線の静岡県内の工事をめぐり、静岡県の川勝知事と国土交通省の藤田事務次官が会談しました。この中で藤田次官が工事に向けた準備作業を進めることを認めるよう求めたのに対し、川勝知事は作業の開始は認められないという考えを重ねて示しました。

リニア中央新幹線をめぐっては、JR東海が静岡県内のトンネル工事に向けた準備作業を認めるよう求めていますが、水資源への影響を懸念する静岡県が作業開始を認めず、協議が難航しています。

こうした中、国土交通省の藤田事務次官が静岡県庁を訪れ午後5時すぎから、川勝知事と会談し、準備作業を進めるための国の提案を説明しました。

この中で藤田次官は「大井川の水資源や自然環境を守ることとは切実な問題であると理解している。リニア事業との両立のため、必要な条例に基づく手続きを速やかに進めてもらいたい」と述べ、準備作業の速やかな実施を容認するよう求めました。

これに対し川勝知事は「流域の自治体とは準備作業はトンネルの本体工事と一体であるという共通理解がある。リニアの早期実現との両立と言うが、工事で水が枯渇しては結果として両立できなくなる。ルート変更も1つの案という声もあり、両立のしかたはいろいろある」と述べ、作業開始は認められないという考えを重ねて示しました。

会談のあと川勝知事は国土交通省が流域の市や町に提案の内容を説明することは拒否しないという考えを示しましたが、今回の会談は両者の主張がかみ合わず、結局、平行線のまま終わりました。

リニア中央新幹線の2027年の開業は一段と厳しい状況になっています。
会談のあと国土交通省の藤田事務次官は「大変率直ないい話し合いができたと思う。今後にもつながる話し合いだったと思う」と述べました。

そして今後の対応について「ひとつひとつご意見を伺って、対応を考え、一致点を見いだすプロセスが重要だ。今後、流域の市や町の皆様に提案を説明させていただいて、ご懸念を伺って参りたいと思う」と述べました。

一方、川勝知事が会談の中で指摘したリニア中央新幹線のルートの変更について、「変更は軽々しく議論するべきものではない。今までいろんな議論を積み重ねてきたものであるし今まさにそのルートを前提に、水資源への影響について議論をしているところなので、論じる段階でもないし、念頭にもない」と述べました。そのうえでリニア中央新幹線の開業時期については「2027年の開業目標だと理解している」と述べました。

知事「結論出ているが市町の意向聞く」

会談のあとの記者会見で川勝知事は「流域の市町とは『準備工事は本体工事と一体』という共通認識があり、今回の国の提案は新しいものではない。県としては流域の代表としてこの問題に対応しており、準備工事に対する結論は出ているが、国が改めて流域の意見を聞きたいということなので、持ち帰って市町の意向を聞きたい」と述べました。