雨被災 20市町村に
普通交付税を前倒し支給

一連の豪雨で被害を受けた九州の3県の20市町村に、ことし9月に交付される予定の普通交付税の半額、合わせて145億円余りが、時期を繰り上げて10日交付されました。

普通交付税は地方自治体の財源不足を補うため国から年4回に分けて交付されるもので、災害で大きな被害を受けた場合には時期を繰り上げて交付されます。

今回の一連の豪雨で九州を中心に大きな被害が出ていることから、総務省は、要望のあった福岡、熊本、鹿児島の3県の20市町村に、ことし9月に交付する予定の普通交付税の半額、合わせて145億4600万円を、時期を繰り上げて10日交付しました。

交付額は、
▽熊本県天草市で26億6700万円、
▽熊本県八代市で17億6200万円、
▽鹿児島県鹿屋市で14億7100万円などとなっています。

高市総務大臣は記者会見で「今回の繰り上げ交付は今月7日までに災害救助法の適用を受けた自治体が対象で、その後に適用を受けた自治体には来週、交付の決定をできるようにしたい」と述べました。

自民 二階氏 激甚災害の指定を首相に要請

自民党の豪雨災害対策本部の本部長を務める二階幹事長らは、10日、総理大臣官邸で安倍総理大臣と面会しました。
この中で二階氏は9日、鹿児島県伊佐市を訪れ、山野川の堤防が決壊した現場を視察したことを報告しました。そして広範囲にわたって、復旧にかかる費用を政府が支援する「激甚災害」に直ちに指定することや、治水対策に取り組むことなどを要請しました。
これに対し安倍総理大臣は「しっかり対応していきたい」と述べたということです。
二階氏は記者団に対し「被災地は大きな不安に駆られている。一日も早く不安を解消し、財政面でも心配なく復旧復興に取り組んでもらえるようにすることが政治の役割だ」と述べました。

首相「激甚災害」指定の見込み 復旧費用を支援

今回の豪雨による被害について、安倍総理大臣は、政府の非常災害対策本部で、復旧にかかる費用を政府が支援する「激甚災害」に指定する見込みとなったことを明らかにしたうえで、引き続き、救命救助活動や被災地の復旧・復興に全力を尽くすよう指示しました。

この中で安倍総理大臣は「これまでに全国から被災地に集結した各部隊が実施した救命救助活動により、2300人以上の方々を救助した。引き続き、救命救助活動や、安否不明者の捜索、いまなお孤立状態となっている地区にお住まいの方々の支援に全力で当たってもらいたい」と述べました。

そのうえで今回の豪雨による被害状況の調査を進めた結果、復旧にかかる費用を政府が支援する「激甚災害」に指定する見込みとなったことを明らかにしました。

また、安倍総理大臣は、停電や断水の早期解消を目指す考えを示したうえで、「被災地では週末にかけて大雨も予想されている。すでに河川の水位が上昇し、地盤の緩んでいるところもあるので、厳重な警戒が必要だ」と述べ、復旧・復興に全力を尽くすよう指示しました。

河野防衛相「自衛隊2万人態勢 予備自衛官も招集」

河野防衛大臣は記者会見で、自衛隊の活動について、九州地方を中心に2万人態勢で、救助活動のほか、入浴や給水、災害廃棄物の除去といった生活支援も実施していると説明しました。

そのうえで河野大臣は、ふだんは企業などに勤務する「予備自衛官」を最大でおよそ100人、自衛隊OBなどの「即応予備自衛官」をこれまでの最大でおよそ200人から、およそ400人に引き上げて招集する命令を出したことを明らかにしました。