太の方針”原案 行政
デジタル化を最優先課題に

政府の経済財政諮問会議で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた、ことしの「骨太の方針」の原案が示されました。安倍総理大臣は「『新たな日常』の確立を通じて、質の高い経済社会の実現を目指す」と述べました。

会合では、政府の経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる「骨太の方針」の原案が示されました。

この中では、新型コロナウイルスの感染拡大で社会全体のデジタル化の遅れが改めて浮き彫りになったと指摘したうえで、まずは行政のデジタル化を最優先課題とするとしています。

そして、これからの1年を集中改革期間と位置づけて、行政手続きをオンライン化し、書面や押印をいらなくするよう見直しを進めるとしています。

また、東京一極集中を是正して地域の活性化を図る「多角連携型」の国づくりを目指すことや、国内外でサプライチェーンの多元化を進めることなども盛り込んでいます。

一方、財政再建については、基礎的財政収支を2025年度に黒字化するとした目標には触れず、「当面は、経済を徹底して守ることを最優先に、デフレに戻さない決意をもって経済財政運営を行う」としています。

安倍総理大臣は「ことしの骨太の方針は、思い切った社会改革を実行するか否かが未来を左右するという切迫した危機感に基づいたものだ。『新たな日常』の確立を通じて、質の高い経済社会の実現を目指していく」と述べました。

政府は、この原案をもとに与党と調整を行い、来週、閣議で決定する予定です。

西村経済再生相「デジタル化 一丁目一番地」

西村経済再生担当大臣は記者会見で、「去年よりも簡素化し、分量を半減させた結果として、社会変革に挑む政府の意思を強く打ち出すものになっている。ポイントは、デジタル化であり、一丁目一番地として加速して進めたい」と述べました。

そのうえで今後の与党との調整について、「去年の骨太の方針に記載されていて、今回、記載がない項目も着実に実施するとしており、理解を求めていきたい」と述べました。

また財政健全化については、「事態が収束したのちには、デフレ脱却と経済再生への道筋を確かなものとすると同時に、歳出・歳入両面の改革を続けることで財政健全化もしっかりと進めたい。中長期の経済財政の姿を示すには、感染の状況や世界情勢にも留意が必要で、今月中にも最新のデータを踏まえて中長期の試算を示したい」と述べました。