定非常災害」指定も
検討 九州豪雨で官房長官

九州各地の記録的な大雨について菅官房長官は、閣議のあとの記者会見で「引き続き政府一体となって災害応急対策を進めるため『特定非常災害』の指定も検討しつつ一日も早い被災地の復旧・復興に向けて取り組んでいる」と述べ、被災者の生活再建のため、行政上の特例措置を適用する「特定非常災害」への指定を検討する考えを示しました。

そのうえで「梅雨前線は9日ごろまで停滞すると予測されているため、西日本から東日本にかけての広い範囲で、あすにかけて大雨になるおそれがある。これまでに降った大雨により、地盤が緩んでいるところでは、わずかな雨量でも災害が発生するおそれがあり、引き続き自治体からの情報に注意し、土砂災害や川の氾濫などに十分警戒していただくようお願いする」と呼びかけました。

また菅官房長官は、九州各地での工場などの操業について「一時的に操業が停止している工場があるが、これまでのところサプライチェーンに重大な影響を及ぼすような状況にはないと報告は受けている。引き続き丁寧な情報収集に努め、今後の状況に応じて中小企業支援策など、必要な対策を迅速に講じていきたい」と述べました。

さらに避難所での新型コロナウイルス対策については「現時点で報告されている避難所では、健康管理や衛生管理、発熱者のためのスペース確保などの取り組みが、おおむね行われていると報告を受けている。被災者の生活環境が、できるかぎりよくなるよう、今後も必要な物資、資材の供給など、自治体とも連携して感染症対策に万全を期していきたい」と述べました。

安倍首相「引き続き最大限の警戒を」

安倍総理大臣は、総理大臣官邸で開かれた政府与党連絡会議で「発災直後から、警察、消防、海上保安庁、自衛隊による懸命な救命・救助活動を進めているが、きのうからきょうにかけて九州の広いエリアに被害が拡大していることを踏まえ、現在8万人態勢に拡大して、何よりも人命第一で救助活動のほか、孤立した集落への支援や安否不明者の捜索などに全力を挙げている」と述べました。

そのうえで「梅雨前線は、9日ごろにかけて西日本から東日本に停滞し、広範な地域で大雨となる可能性がある。引き続き最大限の警戒態勢を継続し、災害対策に万全を期していく」と述べました。

さらに「被災自治体が財政上、安心して復旧に取り組むことができるよう、普通交付税の繰り上げ交付の実施や、激甚災害の指定に向けた調査を急ぐ。現場の声を踏まえ、被災地の皆さんの不安な気持ちに寄り添いながら政府与党一体となって、きめ細かな生活支援、なりわいの再建に全力を尽くす」と述べました。

河野防衛相「自衛隊は1万人態勢 さらに増強も」

河野防衛大臣は、閣議のあとの記者会見で、「最初の72時間は、人命救助に非常にクリティカルな時間帯なので、しっかりとやりたい。また、川の越水などで孤立しているところが結構あり水や物資を届けることや、救助などをやっていかなければならない。自衛隊は、当面は1万人態勢だが、必要なら、さらに増強することも考える」と述べました。

そのうえで、河野大臣は、「次のフェーズで、生活支援が始まってくる。切れ目なく支援ができるよう、部隊の指揮官に先々を見通しながら態勢をとるよう求めていく」と述べました。

加藤厚労相 コロナ・熱中症対策で熊本に職員派遣

加藤厚生労働大臣は、閣議のあとの記者会見で、避難所での新型コロナウイルス対策や熱中症対策などの支援のため、厚生労働省から4人の職員を熊本県に派遣したことを明らかにしました。

4人は、保健師や福祉士の資格を持つ職員などで、熊本県庁で情報収集を進めるとともに、避難所を回って必要なアドバイスなどを行っているということです。加藤大臣は、避難所での感染防止対策について「いわゆる『3つの密』を回避し日頃の対策の延長としてせきエチケットや換気、手洗いの実施を呼びかけるなど万全を期したい。避難勧告が出た地域では、最寄りの避難所へ避難するなど命を守る行動をしっかりとっていただきたい」と述べました。また、被災地へのボランティアについて「国の方針として、県境を越えた移動は問題ないが受け入れ方は、感染症以外の観点もあり、各地域の判断になる」と述べました。

萩生田文科相「被災状況見つつ教員加配も」

文部科学省によりますと7日午前7時の時点で、大雨警報の発表などにより休校となっている小中学校や高校などは、9つの県の合わせて565校だということです。

萩生田文部科学大臣は閣議のあとの記者会見で「新型コロナウイルスによる臨時休校への対応に加え、今後の休校や被災状況を見つつ関係自治体のニーズを踏まえながら、教員の加配や学習指導員の追加措置など必要な対応をしていきたい。すでに熊本や鹿児島には、人的な追加措置の準備をしている」と述べました。

小泉環境相「災害廃棄物の迅速な処理支援」

九州各地の大雨による被害について小泉環境大臣は災害廃棄物の処理が迅速に進むよう支援を行う考えを示しました。

環境省が氾濫した球磨川の流域の状況を調べたところ、7日午前7時の時点で熊本県人吉市やあさぎり町など7つの自治体で災害廃棄物の仮置き場が設けられ、ごみの持ち込みが始まっているということです。

小泉環境大臣は7日の記者会見で、「今後、水が引いてごみの排出が急速に進むと、路上でのごみの堆積や仮置き場が満杯になるような事態が各地で発生するおそれがある」と述べ、自治体が迅速に災害廃棄物を処理できるよう支援していく考えを示しました。

環境省は今後も九州各地の状況を把握したうえで民間の廃棄物処理業者や専門家の派遣などを検討することにしています。