府「非常災害対策本部」
大雨の特別警報発表踏まえ

安倍総理大臣は、政府の「非常災害対策本部」で、福岡県など3県に大雨の特別警報が発表されたことを踏まえ、地元自治体と緊密に連携し、人命第一で応急対策に全力で取り組むよう指示しました。また、「激甚災害」の指定に向けた調査を迅速に実施し、基準を満たせば、速やかに指定の見込みを公表する考えを示しました。

この中で安倍総理大臣は、福岡県と佐賀県、長崎県のいずれも複数の市や町に大雨の特別警報が発表されたことを踏まえ、避難や大雨、河川に関する情報提供を適時適切に行うとともに、被害が発生している地域では、地元自治体と緊密に連携しつつ、政府一体となって、人命第一で応急対策に全力で取り組むよう指示しました。

また、安倍総理大臣は「熊本県をはじめとする被災地では、現在、各部隊による24時間体制での懸命の救出、救助活動などが続いている」と述べ、引き続き孤立した住宅などからの救助や安否不明者の捜索に全力であたるとともに、警戒を怠ることなく排水活動を続けるよう求めました。

そして、被災者の生活支援について、政府のプッシュ型支援により、これまでに食料や飲料をはじめ、段ボールベッドやパーティションなどがすでに現地に到着するとともに、クーラーや簡易トイレも発送されているとしたうえで、引き続き現地のニーズを踏まえて全力で支援にあたるよう指示しました。

さらに、安倍総理大臣は「被災地の速やかな復旧のためには、被災自治体が財政上安心して復旧に取り組むことができる体制作りが重要だ」と指摘し、普通交付税の繰り上げ交付を早急に行うことや、復旧にかかる費用を政府が支援する「激甚災害」の指定に向けた調査を迅速に実施し、基準を満たせば、速やかに指定の見込みを公表する考えを示しました。

そして、安倍総理大臣は「梅雨前線は8日ごろにかけて西日本から東日本に停滞し、広範な地域で大雨となる可能性がある。被災地や特別警報が出された福岡県、佐賀県、長崎県にお住まいの皆様はもとより、国民の皆様は自治体からの情報に十分注意し、油断することなく、命を守る行動をとってもらいたい」と述べました。

武田防災相「生活必需品はプッシュ型支援で」

武田防災担当大臣は、自民党の災害対策本部の会議で、熊本県内の被災地を視察したことに触れ、「道路が寸断され、孤立した地域もある。着の身着のままで避難場所に行った人もたくさんいるので、生活必需品はプッシュ型で支援を続けていく」と述べました。

さらに「今から大変暑くなり、マスクをつけていることで、なおさら熱中症対策が必要になってくる。避難所生活を余儀なくされている人たちが、少しでも快適に暮らせるよう努力したい」と述べ、被災者の生活支援や復旧復興に全力で取り組む考えを示しました。

また自民党の二階幹事長は、「まずは被災地の状況を確認して問題を一つ一つ解決し、1日も早く復旧できるようにするのが私たちの最大の務めだ。現地の要望に応え、できることはすべて行っていく」と述べました。

河野防衛相「陸・海・空自の力を最大限発揮し人命救助を」

河野防衛大臣は6日午後、防衛省で幹部を集めて会議を開き、「当面は『人命第一』で対応し、陸・海・空自衛隊の持てる力を最大限発揮して、関係省庁や自治体としっかり連携を取りながら、災害派遣にあたってほしい」と述べ、人命救助や被災者支援に全力を挙げるよう指示しました。

そのうえで、河野大臣は「深刻な孤立や浸水被害が起きており、人命救助に加えて、食料・水など物資の輸送や、道路の啓開、生活支援など、さまざまなニーズが起きてくる」と述べました。

菅官房長官「激甚災害 1週間後めどに指定見込み公表を」

菅官房長官は午前の記者会見で、「警察、消防、自衛隊や海上保安庁の各部隊が、およそ4万人を超える体制で、人命第一の方針のもとに、捜索救助活動に全力を挙げて取り組んでいる。これまでに合わせて800人以上の方を救助した」と述べました。

そのうえで、復旧にかかる費用を政府が支援する「激甚災害」への指定について、「すでに内閣府と関係省庁が連携して調査を開始している。今後の降雨の状況によるが、まずは1週間後をめどに、指定基準を満たすものがあれば、速やかに指定の見込みを公表する」と述べました。

また、午後の記者会見では、避難所での新型コロナウイルスの感染防止対策について「避難所での3つの密の回避など、感染防止には十分注意している。例えば、熊本県の避難所では、避難者の健康管理、避難所の衛生管理、避難者のスペースの十分な確保、発熱者のための専用スペースの確保などの取り組みが行われている」と述べました。

そして、「すでに非接触型体温計や布製パーティションをプッシュ型支援により被災地に向けて順次発送しており、今後も必要に応じて、物資、資材の供給などの支援をするなど、関係自治体とも連携して、避難所の感染防止対策にしっかり取り組んでいきたい」と述べました。

自民 岸田氏「避難所の感染予防策を」

自民党の岸田政務調査会長は記者会見で、避難所の感染予防策について「政府から対応が示されていたが、十分浸透しているとは言えないのではないか。人の命や暮らしに関わる重大な課題なので、迅速な対応を政府に求めていきたい」と述べました。

公明 山口氏「先手先手の対応を」

公明党の山口代表は記者団に、「政府と自治体が連携を密にして、先手先手の対応をしていくべきで、プッシュ型の支援として自衛隊が備蓄している物品を被災地に届けるべきだ。与党としてしっかり政府に現場のニーズをきめ細かく伝えたい」と述べました。

共産 小池氏「政府は一刻も早く財政支援の表明を」

共産党の小池書記局長は記者会見で、「現地から『新型コロナウイルスの感染拡大で深刻な打撃を受けているところに被害が重なり、心が折れそうだ』などという声をたくさん聞いている。いまや複合災害の様相を呈している」と述べました。

そのうえで、「政府には、人命救助が最優先で全力を尽くしてもらいたい。激甚災害の指定も当然必要だが、『財政的に全面的に支援するので心配しないでください』というメッセージを一刻も早く発してほしい」と述べ、政府に対し、速やかに財政支援を行う意向を示すよう求めました。

農水省 食料品や飲料水など支援

農林水産省は、大雨の被災地を支援するため、即席麺やパックご飯、缶詰などの食料品を6万点、水やお茶などの飲料4万点を食品メーカーから調達し、熊本県に送ることにしています。

熊本県益城町に設置された輸送拠点に届けるということで、飲料などの一部はすでに到着していて、ほかの物も、このあと順次、到着することになっています。

農林水産省は、避難の状況や県からの要請などに応じて、追加の支援を検討することにしています。