ドロキシクロロキン」
臨床試験再開へ WHO

WHO=世界保健機関は、新型コロナウイルスの治療への効果の可能性が指摘されてきた、マラリアなどの治療薬について、臨床試験を中断していましたが、薬を投与することで死亡率が上がるデータはないとして、再開することを明らかにしました。

マラリアなどの治療薬「ヒドロキシクロロキン」は、新型コロナウイルスの治療への効果の可能性が指摘され、WHOは臨床試験を行ってきましたが、アメリカとスイスの研究グループが、投与された患者の一部に心拍の異常が見られたとする研究結果を発表したことを受けて、先月25日、臨床試験を中断したと明らかにし、安全性に関するデータを調査してきました。

WHOのテドロス事務局長は3日、スイスのジュネーブにある本部で開いた定例の記者会見で、「臨床試験の安全性を監視している委員会は、計画を変える理由はないと勧告し、これを受けてヒドロキシクロロキンを含めた臨床試験を続けることにした」と述べ、臨床試験を再開することを明らかにしました。

WHOのチーフサイエンティストのスワミナサン氏は、薬の投与によって死亡率に変化はなかったとしています。

このほかテドロス事務局長は、感染が新たに確認された人の数は過去5日間連続で10万人を超えているとしたうえで、「ここ数週間、アメリカ大陸での新たな感染者数は、世界のほかの地域の合計を超えている」と述べる一方、「ヨーロッパでの新たな感染者数は減り続け、きのう報告を受けた数は、3月22日以降最も少なかった」と述べ、ヨーロッパで爆発的に感染が広がる前の時期の水準に戻っていることを明らかにしました。

記者会見では中国との関係について質問相次ぐ

AP通信は2日、WHOは、中国の対応に不満を持ちながらも、協力を得るために、表向き、中国を評価するような態度をとったことがうかがえると、独自に入手した会議の録音など内部情報をもとに報じ、3日のWHOの定例記者会見では、この点に関する質問が相次ぎました。

これについて、危機対応を統括するライアン氏は「WHOのルールに従って、加盟国を等しく支援し、情報を共有するために昼夜問わず仕事をしてきたことを伝えたい」と述べるにとどめました。

内部情報に関する質問はその後も相次ぎましたが、会見の司会を務めるヤシャレビチ報道官は、いずれについても「すでに答えているので、次の質問に移りましょう」と述べ、追加の質問を受け付けませんでした。