ビガン 今月中の承認
見送り 臨床研究続行

新型コロナウイルスの治療薬の候補、「アビガン」について、加藤厚生労働大臣は、有効性を確認するための臨床研究を続ける必要があるとして、目標としていた今月中の承認を見送る考えを明らかにしました。

「アビガン」は、日本の製薬会社が開発した新型インフルエンザの治療薬で、政府は、臨床研究などで、有効性と安全性が確認されれば、手続きを大幅に短縮して今月中に承認することを目指していました。

加藤厚生労働大臣は記者会見で「臨床研究の結果を評価する第三者委員会が、科学的に有効性を評価するのは時期尚早との考え方を示したと承知している。来月以降も臨床研究や治験を継続する」と述べ、今月中の承認を見送る考えを明らかにしました。

そのうえで「これまでの観察研究で3000人以上に投与が行われたが、安全性に関して問題となる新たな副作用は報告されていない。有効性が確認され次第、迅速に薬事承認を行う方針には全く変わりない」と述べました。

菅官房長官「有効性など確認なら迅速に承認」

菅官房長官は閣議のあとの記者会見で、今月中の承認を目指していた「アビガン」について「引き続き、来月以降も研究を継続し、企業から承認申請があればデータに基づいて速やかに審査を行い、有効性や安全性が確認されれば迅速に薬事承認を行う方針に変わりはない」と述べました。

またワクチンの開発について「国内では東京大学などで開発が進められており、早ければ7月には治験が始まる予定だ。ワクチン開発の官民プラットフォームへの資金供出など国際社会と協力しながら、第2次補正予算案での対応を含め、ワクチン開発をしっかり進めていきたい」と述べました。

そのうえで「いまだ有効な治療薬やワクチンが見つかっていない疾病について、治療薬やワクチンの開発と成果が特定の企業や国に限らず広く共有されることを目指して、国際的に特許権をプールする構想をG7各国に提案している。世界中で開発が促進されることを期待するとともに日本が開発をリードしたい」と述べました。