察庁法改正案
“採択を” “撤回要求”

検察官の定年延長を可能にする検察庁法の改正案は、衆議院内閣委員会で質疑が行われました。野党側は、撤回を求めていく方針を確認したのに対し、与党側は今週中に採決したい考えで、協議が続く見通しです。

検察庁法の改正案は、検察官の定年延長を可能にするもので、国家公務員の定年を段階的に65歳に引き上げるための法案とともに、13日、衆議院内閣委員会で質疑が行われました。

この中で、立憲民主党などの会派の今井雅人氏は「公務員の定年を引き上げることには大賛成だが、どさくさに紛れて検察庁法の改正が入っているから問題だ。いま決める緊要性はどこにあるのか」とただしました。

これに対し、武田国家公務員制度担当大臣は「検事も一般職公務員だ。今回、急にパッケージで法案を提出したのではない。趣旨・目的が1つなら一緒にやるのは必然な形だ」と述べました。

一方、野党側は質疑の途中で、森法務大臣が出席しておらず、武田大臣だけでは審議が続けられないなどとして退席しました。

また、野党側は国会対策委員長が会談し、改正案の撤回を求めていく方針を確認し、具体的な対応を話し合うため、野党4党の党首らによる会談を調整することになりました。

これに対し、与党側は14日の採決は見送るものの、今の国会で成立させるため、今週中に委員会で採決したい考えで、与野党の間で協議が続く見通しです。

官房長官「検察権行使に圧力はない」

菅官房長官は午前の記者会見で、「検察庁法の改正案は、国家公務員の定年の引き上げに合わせて、検察官についても定年を65歳まで段階的に引き上げるなどとするものであり、検察権の行使に圧力があるものではない」と述べました。

また、野党側が、定年延長を最長で3年まで可能にする規定などを削除する修正案を提出する方針を示していることについて、「国会で決めることであり、政府としてコメントは差し控えたい。いずれにせよ、国会審議で丁寧な説明に努めたい」と述べました。

自民 泉田氏「強行採決なら退席する」

衆議院内閣委員会の委員で、自民党の泉田裕彦衆議院議員はみずからのツイッターに「検察庁法の改正案は争点があり国民のコンセンサスは形成されていない。国会は言論の府であり審議を尽くすことが重要で強行採決は自殺行為だ。与党の理事に強行採決なら退席する旨伝えた」と投稿しました。

これを受けて自民党は、泉田議員を内閣委員会の委員から外し、差し替えることを決めました。

立民 安住氏「採決強行なら徹底抗戦」

立憲民主党の安住国会対策委員長は記者団に対し、「与党が検察庁法の改正案の部分を外すのか、どさくさ紛れでやるのか、選択肢は2つに1つであり、話し合いの余地はない。新型コロナウイルスの対策をしている時に検察庁法なのかという国民の声に、謙虚に耳を傾けるべきだと最後まで訴えたい。採決はずっと認められない。それでも強行してきたら徹底抗戦する。ほかの委員会にも波及する」と述べました。

国民 大島氏「森法相と議論必要」

衆議院内閣委員会で、野党側の筆頭理事を務める国民民主党の大島副代表は、記者団に対し「武田大臣の答弁は『一任してくれ』というだけで方向性が見えず退席した。森法務大臣と議論することが、まず必要だ」と述べました。

また、質問に立った国民民主党の後藤政務調査会長代行は「検察の在り方や三権分立が心配される中、政府に白紙委任できない。政府は、検事長の定年を延長する場合の基準を具体的に示す責任があり、このままでは審議できるわけがない」と述べました。

公明 石田氏「政府は丁寧な説明を」

公明党の石田政務調査会長は、記者会見で、「誤解を受けている部分もあると思うので、政府に丁寧な説明を求めたい。安倍総理大臣の恣意的(しいてき)な人事になるという指摘がよく出てくるが、検察庁はそんなに信用できないのか。為政者が誰であれ、検察は法と証拠に基づいて適正に職務を行っている。これは未来も変わらない」と述べました。