ージス配備の事実上断念
「連絡ない」秋田県知事

「イージス・アショア」の配備をめぐり、防衛省が秋田市内にある自衛隊演習場への配備を事実上断念し、新たな候補地を秋田県内を中心に検討する方針を固めたことについて、秋田県の佐竹知事は「防衛省から何も連絡がない。当事者に何も伝えられないというのは、不信感がわく」と不満を示したうえで、正式な決定を受けて対応を検討する考えを示しました。

新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備をめぐって、防衛省は秋田市の陸上自衛隊新屋演習場を候補地としていましたが、住宅地に近すぎることや地元の反対が根強いことを踏まえて配備を事実上断念し、秋田県内を中心に新たな候補地を検討することにしています。

秋田県の佐竹知事は記者団に対し「防衛省からは何の連絡もない。事務方に問い合わせたところ、決定の事実はないという回答だった。当事者に何も伝えられないというのは、ますます不信感がわく。正式な話を受けてからどういう対応をするかだ」と不満を示したうえで、正式な決定を受けて対応を検討する考えを示しました。

また秋田市の穂積市長は、「防衛省がみずから適地でないと取り下げてもらうことが最良の選択だと思う。国の動向を注視していきたい」と述べました。

菅官房長官「新屋演習場への配備 断念の事実なし」

菅官房長官は、午前の記者会見で「イージス・アショア」の配備をめぐり、「現段階ではまだ検討の前提となる調査を実施しているところであり、何らかの方針や検討の方向性を決定したという事実はなく、新屋演習場への配備を断念したという事実はない」と述べました。

演習場の地元では賛否の声

新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備をめぐり、防衛省が秋田市の自衛隊演習場への配備を事実上断念する方針を固めたことについて、演習場がある地元からは、賛否の声が聞かれました。

このうち70代の男性は「演習場が住宅地に近いため、配備を断念することには賛成です。一方、国が秋田県内のほかの場所を新たな候補地として検討することについては、今はなんとも言えません」と話していました。

また、70代の女性は「演習場が自宅のすぐ近くにあり、配備されるか心配だったので、断念したと聞いた時は率直にうれしかったです。秋田県内への配備自体に反対です」と話していました。

一方、50代の男性は「配備されれば町の活性化につながり、防衛上もイージス・アショアが必要だと考え配備に賛成していたので、非常に残念です」と話していました。

配備反対の住民団体「よかったと思うが複雑」

「イージス・アショア」の配備に反対している地元の住民団体の男性は「よかったと思うが、別の候補地の住民の気持ちを考えると複雑だ」と話していました。

地元の住民グループ・新屋勝平地区振興会は、これまで新屋演習場へのイージス・アショアの配備反対を訴えてきました。

7日、取材に応じた振興会の五十嵐正弘副会長は「本当に断念するのであればよかったと思っている。地区の住民と一緒に訴えてきた声が届いたと思っている」と話していました。

一方で、防衛省が新たな候補地を秋田県内を中心に検討する方針を固めたことについては、「新たな候補地となる地域の住民の感情を考えると複雑な気持ちになる。何かできることがあれば協力していきたい」と話していました。