急事態宣言 全国に拡大
政府方針は妥当 諮問委員会

政府が、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を全国に拡大する方針を固めたことを受けて、専門家に意見を聴く「諮問委員会」が開かれました。「諮問委員会」では、対象地域を全国に拡大し、期間は7都府県と同じく、来月6日までとする政府の方針は、妥当だとする見解が示され、16日夜にも開かれる対策本部で決定される見通しです。

新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」について、政府は、東京など7つの都府県以外でも感染が広がっていることから、宣言の対象地域を全国に拡大する方針です。

これを受けて、感染症の専門家などに意見を聴く「諮問委員会」が16日午後5時すぎから開かれ、冒頭、西村経済再生担当大臣が「7都府県以外の北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府では患者の累積報告数が100人以上となり、感染拡大に伴う倍加時間の短期化が認められている」と述べました。

そして「これらの道府県以外の県においても都市部からの人の移動によるとみられるクラスター=感染者の集団などによる感染拡大の傾向がみられる。さらに3月20日からの3連休のあと潜伏期間などを経て2週間後に感染者の数が急増した状況もみられる。これらを踏まえると大型連休期間中の人の移動を最小化するための対応をとることが急務と考えている」と述べました。

そのうえで宣言の対象地域を全国に拡大し、期間は7都府県と同じく来月6日までとする方針を説明し意見を求めました。

「諮問委員会」は1時間半余り開かれ、西村大臣は「了解がいただけた」と述べ、政府の方針は妥当だとする見解が示されたことを明らかにしました。

安倍総理大臣は「諮問委員会」の報告を受けたあと、西村大臣による国会への事前報告を経て、16日夜にも開かれる政府の対策本部で対象地域の全国への拡大を決定する見通しです。

岡部会長代理「医療体制がぜい弱な地域も考慮した」

諮問委員会の会長代理を務める川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は記者団に対し、「感染者数が多いか、少ないかだけでなく、地方には、大都市に比べて医療体制がぜい弱な地域があることも考慮して、宣言の対象を全国に広げた」と述べました。

また、「東京都をはじめ、感染が拡大している地域を脱出して、沖縄県などの地方に行く動きが起きている。そうした動きを抑えられるようオールジャパンで、気をつけなければならない」と述べました。

立民 福山氏「『自粛要請と補償はセット』決断を」

立憲民主党の福山幹事長は、国会内で記者団に対し「これまでとの考え方の違いや根拠が明確ではないので、コメントしづらいが、感染が拡大していない地域にも宣言を出すことになると、より影響が大きくなる。政府は『自粛要請と補償はセットだ』という考えをいち早く決断するべきだ」と述べました。

国民 玉木氏「党首会談で説明を」

国民民主党の玉木代表は、記者団に対し「緊急事態宣言の対象地域を全国に広げることは、感染拡大が止まらない中で、妥当な決断だ。しかし、当初の封じ込め策が失敗しているように思うので、党首会談を行って、安倍総理大臣に詳しい説明を求めたい。協力できることはしていきたい」と述べました。

共産 小池氏「自粛要請の補償も大規模に」

共産党の小池書記局長は、国会内で記者団に対し「対象地域を全国に拡大するのであれば、科学的根拠を示すべきで、自粛要請に対する補償も大規模に行う必要がある。安倍総理大臣が国会に事前に報告するべきで、担当大臣で済ますのは無責任なやり方だ」と述べました。

専門家「一人一人が広げないという強い意識を」

「緊急事態宣言」の対象地域が全国に拡大することについて、感染症対策に詳しい東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は「今月7日に緊急事態宣言が出たあと、東京や大阪など都市部から地方へと移動する人も多く、全国的にも感染経路が分からない感染者も増えつつあった。こうした中で緊急事態宣言の対象を全国に広げるのは、一人一人に対してさらなる行動変容を促すという意味では非常に重要なメッセージだ」と話しました。

そのうえで「これからは全国の人々が人との接触を8割減らし、密閉、密接、密集の『3つの密』を避けるよう徹底することが必要だ。感染症は地域や県も関係なく広がっていくため、都道府県間の移動、さらに県内での移動に関してもレジャーはもちろん、仕事でもなるべく不要不急の移動は避けるべきだ。不便な思いはするが、一人一人が広げないという強い意識を持って過ごしていくことが何より重要だ」と話していました。