京は協力金 埼玉県では
支援策不明“不公平”の声も

東京都で営業時間の短縮などに応じた飲食店に協力金が支給される一方で、隣接する埼玉県の飲食店では、今のところ具体的な支援策は示されておらず、不公平感があるという声が上がっています。

さいたま市のJR浦和駅の近くにある居酒屋「蔵人浦和店」は、先月下旬から客が減り始め、緊急事態宣言が出たあとはさらに客が減り、売り上げは通常の20%程度まで落ち込んでいるということです。

先週土曜日の夜8時ごろの店内は、週末にもかかわらず、客は2組だけで閑散としていました。

東京都では居酒屋を含む飲食店に営業時間の短縮などを要請し、応じた場合は協力金が支給されます。

一方、川を挟んだ埼玉県は営業時間の短縮を要請せず、適切な感染対策を講じたうえでの事業継続を求めていて、今のところ具体的な支援策は示されていません。

県内の飲食店からは外出自粛が要請されて以降、“開店閉業状態”なのは一緒なのに、支援に格差があるのは不公平感があるという声があがっています。

「蔵人浦和店」の経営者、薬丸真琴さんは、「現状では店の賃料や従業員に給料を支払うため営業を続けざるをえません。同じような“補償”をしてもらえないと地域によって自粛に温度差が生じてしまうので、県やさいたま市には踏み込んだ対応をお願いしたいです」と話しています。

埼玉県内でも支援に差

一方、さいたま市に隣接する川口市は、新型コロナウイルスの影響で売り上げが落ち込んだ飲食店などに10万円を支給することを決め、県内でも支援に差が出ています。

川口市の産業労働政策課に設置された相談窓口には、13日午前中から「自分の店が対象になるのか」とか、「いつから支給されるのか」といった相談が寄せられました。

支給の対象となるのは、新型コロナウイルスの影響で売り上げが落ち込んだ小規模事業者で、飲食店の場合は従業員が5人以下の店が対象です。

市が独自の支援を始めたことに市内の飲食店からは歓迎するとともに、継続的な支援を求める声があがっています。

このうち、旬の野菜や肉料理を提供している洋風居酒屋は消毒を徹底したうえで、客を1日数組に限定したり、席の間にカーテンを設置したりして感染リスクを下げる対策をして営業を続けています。

しかし、外出自粛要請がされた先月下旬以降客が減り続け、売り上げは通常の40%程度まで落ち込んでいるということです。

店では持ち帰りができるメニューを増やしていますが、今後も厳しい経営状態が続く見込みで、継続的な支援を求めています。

洋風居酒屋「ベジタ×バル0363」の橋本治店長は「このままだと廃業してしまう店が相当、出てくると思います。10万円が支給されるので他の地域よりありがたいですが、1回だけでなくて継続的に支援してほしいです」と話していました。

川口市の奥ノ木信夫市長は「クラスターが発生しやすい場所に自粛要請をすることは理解できるが、売り上げが減っている飲食店が多いので支援が必要だと考えた。5月の連休明けには支援金の受付ができるようスピード感を持って対応していきたい」と話しています。