人税・消費税の猶予や
固定資産税の減免策 与党

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた経済対策をめぐり、自民・公明両党は、与党税制協議会で、収入が減少した企業に法人税などの納付を猶予し、売上高の減少が続く中小企業の固定資産税は減免するなどの支援策をまとめました。

それによりますと、企業の資金繰りなどを支援するための措置について、収入が20%以上減少するなどした企業に対し、法人税や消費税などの納付を1年間猶予し、延滞税や担保を免除するとしています。

さらに、中小企業の設備や建物にかかる固定資産税と都市計画税は、2月から10月までのうち、3か月間の売り上げが、前の年の同じ時期に比べ、▽30%から50%未満で減少した場合は半額を、▽50%以上減少した場合は全額を免除します。

また、赤字が生じた中小企業が過去にさかのぼって法人税額の還付を受けられる措置の対象を、大企業のうち、資本金が10億円以下の企業に広げるとしています。

一方、イベントの自粛要請が続いていることから、チケットの払い戻しを求めなかった購入者を対象に、その金額を寄付と見なして所得から差し引くなど税制上の優遇措置を講じて、事業者の払い戻しをおさえ、手元に資金を残せるよう支援します。

このほか、ことしの年末までの入居が条件となっている「住宅ローン減税」の特例措置については、住宅設備の納入の遅れなどを理由に、新築の場合は9月末までに、中古住宅などの場合は11月末までに契約していれば、入居期限を来年末まで1年間延長するとしています。

さらに、自動車の取得時にかかる燃費性能を基準とした税金は、税率が1%引き下げられる軽減措置の期限を、来年3月末まで半年間延長するということです。こうした支援策は、政府が来週まとめる経済対策に盛り込まれる見通しです。

税制支援策 その内容は

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた税制面での対策には、深刻な影響を受けている企業の負担を軽減する措置や、住宅ローン減税など景気を下支えするために導入された措置の延長などが盛り込まれます。

法人税や消費税の納税猶予

収入が大幅に減少した企業やフリーランスを含む個人事業主に対し、法人税や消費税、所得税などの国税の納付や固定資産税など地方税の徴収を1年間猶予します。

対象となるのは、ことし2月以降の1か月以上にわたって、収入が、前の年の同じ時期に比べ20%以上減少するなどした場合です。

通常、納税や徴収を猶予する場合は、原則として担保の提供が必要で、延滞税や延滞金も課されますが、今回は特例としていずれも免除します。猶予が認められれば、年金や健康保険などの社会保険料についても同様に支払いが猶予されます。

固定資産税の減免

売り上げの減少が続く中小企業や個人事業主は、設備や建物にかかる固定資産税や都市計画税を、来年度に課税される1年分に限って減免します。

ことし2月から10月までのうち、3か月間の売上高の減少幅が、前の年の同じ時期に比べ30%から50%未満の場合は半額、50%以上減少している場合は全額を免除する方針です。

「繰戻し還付」の拡充

赤字が生じた場合に、過去の事業年度にさかのぼって法人税額の還付を受けられる「繰戻し還付」の制度を拡充します。

通常は、収入や支出を帳簿につけて所得を申告する「青色申告」を行っている中小企業に適用されますが、特例として、大企業のうち資本金が10億円以下の企業にも対象を広げます。

イベントの資金繰り支援

政府の自粛要請を踏まえてイベントを中止した結果、主催者に大きな損失が生じていることから、文化や芸術、スポーツイベントなどのチケットについて購入者が払い戻しを求めなかった場合、その金額を寄付と見なして税の負担を軽くする「寄付金控除」を適用します。

チケットの払い戻しによる支払いを抑えることで、手元に資金を残せるようにして、資金繰りを支援します。

中小企業のテレワーク促進

感染拡大を受けて広がる企業のテレワークを後押しします。テレワークに必要な設備やテレビ会議用の機器などを導入した中小企業や個人事業主に対し、取得額の最大10%を法人税額などから差し引く優遇措置を講じます。

「住宅ローン減税」入居期限延長

「住宅ローン減税」を受けられる期間を13年間に延長する特例措置について、年末までとなっている入居期限を、来年の年末まで1年間、延長します。

感染拡大の影響で住宅の建設が遅れ、入居できる時期が遅くなった人が対象で、新築の場合はことし9月末まで、建て売り住宅や中古住宅などの場合は11月末までに契約を済ませていることが条件となります。

「環境性能割」の延長

自動車を取得した際にかかる燃費性能を基準とした税金「環境性能割」も、税率が1%引き下げられる軽減措置の期限を、ことし9月末から来年3月末まで半年間、延長します。