韓からの入国者に指定
場所での2週間待機を要請

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、政府は5日の対策本部で、水際対策を抜本的に強化し、感染者の多い中国と韓国からの日本人を含めた入国者に指定場所での2週間の待機を要請することを決めました。

政府は、5日夜開いた対策本部の会合で、水際対策の抜本的な強化に向けた新たな措置を決定しました。

感染者の多い中国と韓国からの日本人を含めた入国者について、2週間、検疫所の所長が指定した場所での待機と国内での公共交通機関を利用しないよう要請するとしています。中国には香港やマカオを含むとしています。

さらに、発行済みビザの効力を停止し、旅客機が到着する空港を、成田空港と関西空港に限定するよう要請するとしています。

これらの措置は、来週9日から今月末まで実施するとしています。

また、7日午前0時から韓国とイランのそれぞれの一部地域を入国禁止措置の対象として追加指定するとしています。

一方、会合では、マスクの品薄状態が続く中、転売目的で買い占められ、インターネットを通じて高額で販売されるケースが相次いでいることを踏まえて、マスクの品薄状態を解消するための総合対策もまとめました。

具体的には、国民生活安定緊急措置法に基づきマスクのインターネットでの転売を禁止することなどが盛り込まれ、違反した場合には、罰則も科されることになります。法律に基づく転売の禁止は初めてです。

また、再利用が可能な布製のマスク2000万枚を国が一括して購入し、介護施設や学童保育の現場などに配布するほか、医療用マスクについても、メーカーに増産を要請し、海外からの輸入も合わせて1500万枚を確保するとしています。

最後に、安倍総理大臣は、「諸外国での感染が拡大する中で今が正念場であり国内対策はもとより、機動的な水際対策についても引き続きちゅうちょなく断行していくことが不可欠だ。また、今後も、マスクの受注状況を十分に注視しながら、国民不安の解消にむけて、法制度や予算を駆使して、必要な対策はどんどん講じていく」と述べました。

東京 新大久保では影響を心配する声

政府が中国と韓国からの入国者に指定場所での2週間の待機を要請することを決めたことについて、コリアンタウンがある東京 新大久保では影響を心配する声が聞かれました。

都内の大学で学んでいる韓国人の男子留学生は「日本に入国する際に2週間待機する必要があるということは、その間は授業を受けられなくなるので、当面の間は帰国できなくなります。韓国に住む親や友達とも会いたかったのですが、しばらくは向こうから来ることもできなくなり、とても残念です」と話していました。

また、食料品店の従業員の男性は「同僚の韓国籍の女性が今月中に韓国に行って再び日本に戻る予定でしたが、どうするか対応を検討しています。感染を広げないためには仕方がないと思いますが、韓国からの入国が全面的に禁止される日が来るかもしれないと考えると不安です」と話していました。

大阪 コリアン街周辺の反応は

コリアン街がある大阪のJR鶴橋駅周辺では、さまざまな意見が聞かれました。

近くのホテルで働く韓国籍の30代の男性は「韓国に帰って日本に戻るときに戻りづらくなるので少し残念ですが、日本にとっていちばんよいのは規制をすることなのでしかたないし、正しい判断だと思う」と話していました。

また、30代の会社員の女性は「私が韓国や中国に行くときは帰国する際に空港で困ると思うが、今の状況を考えるとよい判断だと思う。ただ、もっと早くやっておけば多くのイベントが中止になったりすることもなかったのでは」と話していました。

決定に理解を示す意見が多く聞かれた一方で、20代の学生の女性2人は「韓国の音楽が好きで3月に行こうと話していました。韓国に行きにくくなるし、空港でも面倒になると思うので反対です。好きなアイドルが7月に来日するのですが、それもどうなるのか」と心配していました。

韓国メディア 相次ぎ速報

日本政府が、韓国からの入国者に指定場所での2週間の待機を要請することなどを決めたことについて、韓国メディアは相次いで速報で伝えました。

このうち通信社の「連合ニュース」は、「制限措置の大幅な強化を断行した」としたうえで、旅客機が到着する空港を、成田空港と関西空港に限定するよう要請することに言及し、「入国のほか交通を制限して、往来を減らす構想とみられる」と伝えています。

また、主要紙の「中央日報」は電子版で「観光客の減少という経済的な打撃を受けてでも、オリンピックを開催できる雰囲気を作ろうとしているとの解釈も出ている」と指摘しています。

韓国外務省によりますと、5日午後3時の段階で41の国と地域が、韓国全土や一部の地域からの入国や入境を禁止しているほか、一時隔離する措置を取ったり、手続きを強化したりしたのは、57の国や地域に上るということです。

カン・ギョンファ(康京和)外相は、連日のように各国の外相と電話での会談を行っているほか、6日は韓国に駐在する各国の外交官を集めて、韓国側の対応について説明し、過度な制限措置を取らないよう求めることにしています。

韓国大統領府 政策室長「失望 深い遺憾の意」

日本政府が韓国からの入国者に指定場所での2週間の待機を要請することなどを決めたことについて、5日夜、韓国の公共放送KBSの番組に出演した大統領府のキム・サンジョ(金尚祚)政策室長は「失望したし、深い遺憾の意を表する。新型コロナウイルスへの対応では、国内の努力も重要だが、国際的な協力もとても重要だ」と述べました。

そのうえで6日、韓国政府が正式な立場を発表するだろうとの見通しを示しました。

また、韓国外務省は5日夜、ソウルにある日本大使館の相馬総括公使を呼びました。

具体的な内容は明らかになっていませんが、日本側の措置について説明を受けるとともに、過度な制限措置を取らないよう求めたものとみられます。