~2週間が瀬戸際」
国の専門家会議が見解示す

新型コロナウイルスへの感染の報告が相次ぐ中、国の専門家会議は、今後1~2週間が感染拡大のスピードを抑えられるかどうかの瀬戸際だという見解を示しました。一般の人ができることとして、▽多くの人と近い距離で対面する場所を可能なかぎり避けることや、▽かぜなどの軽い症状の人は自宅で療養することなど、対策への協力を求めています。

見解は、国の新型コロナウイルスの緊急対策本部の専門家会議のメンバーがまとめました。

この中では、現在の国内での感染状況について、複数の地域でいつどこで誰から感染したか分からないケースが出てきており、感染が急速に拡大しかねない状況だという認識を示しました。

さらに、集団感染が起きたクルーズ船からの患者の治療のため首都圏では対応できる医療機関の病床の多くが利用されている状況にあり、今後、感染を心配した多くの人が殺到すると、医療提供体制が混乱するおそれがあるとしています。

こうした状況を踏まえ専門家会議は「この1~2週間の動向が国内で急速に感染が拡大するかどうかの瀬戸際」だという認識を示したうえで、感染を広げないために一般の人ができる対応を示しました。

具体的には、
▽医療機関で感染を広げるリスクを減らすために、かぜや発熱などの軽い症状の場合は外出せず自宅で療養すること、
▽かぜの症状や37度5分以上の発熱が4日以上続く場合、強いだるさや息苦しさがある場合は、都道府県に設置されている「帰国者・接触者相談センター」に相談するよう呼びかけています。

ただし、高齢者や持病のある人は2日程度症状が続く場合には相談するよう呼びかけています。

さらに、感染を拡大させるリスクが高いのは
▽対面で人と人との距離が近い接触が、
▽会話などで一定時間以上続き、
▽多くの人々との間で交わされる環境だとして、症状のない人もこうした環境をできるだけ避けるよう呼びかけています。

そして、重症化するリスクの高い高齢者や持病のある人に医療機関が対応する必要があるとして、心配だからといってすぐに医療機関を受診しないことが重要だとしています。

そのうえで、教育機関や企業でも行事の開催方法の変更やリモートワークなどできるかぎり工夫することへの協力を求めました。

“小規模な集団感染抑え込むのが重要”

新型コロナウイルスをめぐる政府の専門家会議の会合が開かれ、各地で発生している小規模な集団感染をこれ以上拡大させずに抑え込むことが最も重要だという認識で一致しました。政府は、こうした意見を踏まえて、感染拡大を防止するための具体策を盛り込んだ総合的な基本方針を25日まとめることにしています。

新型コロナウイルスをめぐる政府の専門家会議は24日、3回目となる会合を開き、座長を務める国立感染症研究所の脇田隆字所長ら感染症などの専門家14人が出席しました。

この中で加藤厚生労働大臣は、「現在の国内の発生状況を踏まえると、患者の増加のスピードを可能なかぎり抑制することは、今後の流行を抑制するうえで極めて重要だ。同時に、患者数が大幅に増えた時に備え、医療提供体制を整えるべき期間にもあたる」と述べました。

そのうえで、「今後の状況の進展を見据えた対策を整理し、基本方針として国民に明確に示すことは非常に重要であり、まさにそれをすべき段階だ。皆さんの知見に基づいた積極的な議論をお願いしたい」と述べ、政府の基本方針の策定に向け議論を行うよう要請しました。

このあと会議では、和歌山の病院や東京の屋形船のケースのように「クラスター」と呼ばれる小規模な集団感染が各地で発生していることを踏まえ、現段階では、それぞれの感染のつながりを追うとともに、これ以上拡大させずに抑え込むことが最も重要だという認識で一致しました。

また、国民に適切な行動をとってもらうため、わかりやすく情報を伝えることや、新型インフルエンザとの違いを踏まえた対策をとる必要があることを確認しました。

政府は、こうした意見を踏まえて、国民や企業に対する情報提供や、感染拡大の防止策、それに医療提供体制の強化などの具体策を盛り込んだ総合的な基本方針の策定を急ぎ、25日開かれる対策本部でまとめることにしています。

首相 基本方針策定へ詰めの調整指示

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、安倍総理大臣は、24日午後、加藤厚生労働大臣らと会談し、国内の感染状況などの報告を受けるとともに、25日策定する総合的な基本方針について詰めの調整を急ぐよう指示しました。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、安倍総理大臣は、24日午後4時前に総理大臣官邸に入り、およそ1時間にわたって、加藤厚生労働大臣をはじめ、関係省庁の幹部らと会談しました。この中では、最新の国内の感染状況や、24日午前開かれた政府の専門家会議での議論の内容などについて報告を受けました。

そして、政府が25日策定する予定の、感染拡大防止や医療提供体制の強化などの具体策を盛り込んだ総合的な基本方針について協議し、詰めの調整を急ぐよう指示しました。

またこれに先立って、総理大臣官邸では杉田官房副長官と関係省庁の事務次官らによる事務レベルの協議も行われました。