ルーズ船 米国人が
期限待たず帰国へ

アメリカ政府は、新型コロナウイルスの集団感染が確認されたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」のアメリカ人の乗客らを16日にも船から下ろし、チャーター機で帰国させることになりました。

アメリカ大使館の発表によりますと、国務省は横浜港に停泊しているクルーズ船のアメリカ人の乗客らを帰国させるためチャーター機を手配しました。

チャーター機は16日夕方に日本に到着するということで、準備が整いしだい乗客らを船から下ろし、帰国させる見通しです。

クルーズ船の運航会社によりますと、およそ2600人の乗客のうちアメリカ人は416人と日本人に次いで2番目に多く、乗員も12人います。

こうしたアメリカ人の中にも新型コロナウイルスへの感染が確認される中、早期に帰国できるようアメリカ政府に対応を求める声が高まっていました。

日本政府はこれまで乗客や乗員に対し、最初の感染が確認されてから2週間となる19日まで船内で待機するよう求めていましたが、関係する国の中で初めてアメリカが期限を待たず国民を帰国させる措置に踏み切ったことで、今後、ほかの国の対応も注目されます。

米国人の乗員乗客へのメール “帰国後14日間は隔離”

アメリカ大使館は、クルーズ船にいるアメリカ人の乗客と乗員に宛てて15日メールを送り、帰国に向けた対応について説明したということです。

それによりますと、16日の夜、アメリカ政府のチャーター機が日本に到着し、乗客らは船を下りたあと、バスに乗って飛行機まで移動します。

そしてチャーター機に搭乗するまでの間、それぞれの体調を確認し、新型コロナウイルスに感染している兆候が見られた場合は日本にとどまって治療を受けることになるとしています。

チャーター機は、アメリカ西部カリフォルニア州のトラビス空軍基地に到着したあと、一部の人はさらに南部テキサス州のラックランド空軍基地に向かうということです。

ただ、乗客はアメリカに帰国したあとも検疫のため14日間隔離されなければならないとして、理解を求めています。

メールでは「状況は動いている。感染の封じ込めに取り組んでいる船の運航会社と日本政府には深く感謝しているが、アメリカ政府は国民への責任を果たすとともに、日本の医療システムへの負担を減らすため、皆さんが船を下りてアメリカに帰国し、さらなるモニタリングを受けることを勧める」としたうえで「このチャーター機で帰国しない場合、一定の期間帰国できないだろう」とも伝えています。

また、日本政府関係者によりますと、これまでの調整の結果、アメリカ人の乗客およそ400人のうち、ウイルス検査で陽性だった人を除く350人余りを帰国させる方向になったということです。

具体的には、アメリカ政府が16日夜にもチャーター機2機を羽田空港に用意して、アメリカ人の乗客はクルーズ船からバスで空港に向かい、チャーター機に乗り込み、17日未明にも羽田空港を出発して、カリフォルニア州にあるアメリカ軍の基地に向かう方向で調整を進めているということです。

加藤厚労相「日米政府間で調整進んでいると承知」

加藤厚生労働大臣は「アメリカ政府からの要請に基づき、現在、ダイヤモンドプリンセスに乗っているアメリカ国民が下船して、アメリカのチャーター機を利用した出国を行うべく、日本国政府とアメリカ政府の間で調整が進んでいると承知している。アメリカ政府から船に搭乗しているアメリカ国籍の方々に、船にとどまりますか、それともこうしたオプションがあるからそれを使われますかという調査が行われていると聞いている」と述べました。

日中外相 感染拡大防止へ緊密連携で一致

国際会議にあわせてドイツ・ミュンヘンを訪れている茂木外務大臣は、日本時間の16日未明、中国の王毅外相と会談しました。

この中で茂木大臣が新型コロナウイルスの感染拡大が続く、中国 武漢から日本人を帰国させるチャーター機派遣について、「中国が全面的に協力してくれていることを高く評価している」と述べ、謝意を伝えました。

そのうえで、茂木大臣が「日本としても中国政府の取り組みに、これからも全力で協力していきたい」と述べたのに対し、王外相は日本側からの支援物資の提供に謝意を伝え、両外相は感染拡大を防止するため、緊密に連携していくことで一致しました。

一方、茂木大臣は、この問題による影響も懸念されている、ことし4月の習近平国家主席の国賓としての日本訪問について、「日中が世界の平和と繁栄への大きな責任をしっかり果たす意志を内外に示す機会にしたい」と述べ、両外相は現時点では予定どおり実施するために、準備を着実に進めていくことを確認しました。