航を不用意に妨げる
必要ない」WHO事務局長

新型のコロナウイルスの感染が広がる中、WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は「渡航や貿易を不用意に妨げる必要はどこにもない」と述べ、中国から渡航する人の入国を禁止する国が相次いでいることに懸念を示しました。

スイスのジュネーブにあるWHOの本部では3日、執行理事会が始まり、5月に開かれる総会に向けた提案などについての議論が始まりました。

冒頭で、テドロス事務局長は、新型のコロナウイルスの感染が世界に広がる中、中国から渡航する人の入国を禁止する国が相次いでいる現状について、「渡航や貿易を不用意に妨げる必要はどこにもない。証拠に基づいた決定をするようすべての国に求める」と述べました。

WHOは先月30日に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言し、医療体制のぜい弱な国への感染拡大に懸念を示しています。

一方で、貿易や人の移動を制限することは勧告しないと強調していて、その後渡航の制限をする国が相次いでいることに懸念を示した形です。

執行理事会は8日まで開かれ、6日には新型コロナウイルスの感染拡大への対応について検討することにしています。

今週にも中国に調査チーム派遣へ

WHOはウイルスについて詳しく調べるとともに、感染を抑え込む方法などを検討するため、早ければ今週中に専門家からなる調査チームを中国に派遣することになりました。

これはWHOの報道官が3日、NHKの取材に対して明らかにしました。

それによりますと、疫学の専門家や研究機関の関係者などからなる国際的な調査チームを、早ければ今週中に中国に派遣し、現地の専門家とともにウイルスについて詳しく調べたり、感染の拡大を防ぐための対策を検討したりするということです。

WHOのテドロス事務局長は先月28日、新型コロナウイルスの感染力などについて中国側とともに調査を進めることで習近平国家主席と一致していて、調査チームの派遣によって感染の拡大を抑え込むための知見が得られるのか、注目されます。