新型肺炎 現地の日本人
希望者全員帰国させる方針

中国の湖北省武漢を中心に新型のコロナウイルスの感染が拡大する中、安倍総理大臣は26日午後6時すぎ、総理大臣公邸で記者団に対し、現地に滞在する日本人で希望する人は、中国政府との調整が整いしだい、チャーター機などを使って全員を帰国させる方針を明らかにしました。
この中で安倍総理大臣は「新型コロナウイルスに関連して中国の武漢市内の閉鎖が進んでいることから、この週末、武漢在住の日本人への意向確認を随時行うとともに、希望者の帰国に向けた具体的な検討を進めてきた」と述べました。
そのうえで「その結果、チャーター機などの手当てのめどがついたことから、中国政府との調整が整いしだい、チャーター機などあらゆる手段を追求して希望者全員を帰国させることとした」と述べました。
そして「現在、中国政府とさまざまなレベルで調整を進めているが、今後一層加速して速やかに帰国を実現させたいと考えている」と述べ、現地に滞在する日本人の退避に向け、全力を挙げる考えを示しました。
日本大使館 帰国希望者は連絡を
北京にある日本大使館はホームページを通じて、湖北省に滞在する日本人のうち帰国を希望する人は速やかに大使館に連絡するよう呼びかけています。
大使館は、中国当局と調整を行ううえで氏名やパスポート番号、湖北省内の住所などの情報が必要になるとしていて、帰国を希望する人はこうした情報を大使館に連絡するよう求めています。
政府 「官邸対策室」に切り替え対応
政府は中国の湖北省武漢を中心に新型のコロナウイルスの感染が拡大しているのを受けて、総理大臣官邸の危機管理センターに設置していた「情報連絡室」を26日午後6時すぎに「官邸対策室」に切り替えて対応にあたっています。
外務省 武漢などの邦人退避へ中国と協議
外務省は24日、湖北省全体の感染症危険情報レベルを「3」に引き上げ、渡航の中止を勧告しました。
武漢には24日現在で、700人程度の日本人がいるとみられていますが、公共交通機関の運行が停止し、武漢からの移動が制限された状態となっています。

このため外務省は、武漢を含む湖北省に滞在する日本人を保護するため、退避に向けて中国政府と協議を始めています。
外務省は、帰国を希望する人の調査を26日夕方から始め、氏名やパスポート番号などの個人情報を北京にある日本大使館に連絡するよう求めています。
中国側の了承が得られれば、民間航空会社のチャーター機を飛ばして武漢から日本国内に移動してもらうことも含めて調整しています。
日本に退避できた場合の空港での受け入れ態勢などについても関係省庁と調整を進めています。
日中外相が電話会談
安倍総理大臣が現地に滞在する日本人の希望者全員を帰国させる方針を明らかにしたことをを受けて、茂木外務大臣は26日夜に中国の王毅外相と電話で会談し「日本として協力できることがあれば全面的に支援したい」と述べ、拡大防止への支援を伝えたうえで、現地にいる日本人の早期帰国に中国側の協力を求めました。
これに対し王毅外相は日本の方針に理解を示し、両外相はさまざまなレベルで調整を進めることで一致しました。
会談後、茂木大臣は記者団に対し、湖北省でこれまでに430人の日本人の滞在者を確認できたとしたうえで「いまだ連絡がとれていない方の安否を鋭意確認している。帰国についてはチャーター機の派遣などあらゆる手段を追求しており、準備をさらに加速したい」と述べました。