漢含む湖北省全体への
渡航中止 外務省が勧告

中国の湖北省武漢を中心に新型のコロナウイルスによる肺炎が相次いでいることを受けて外務省は24日夕方、中国に滞在している日本人を対象に出している「感染症危険情報」のうち湖北省全体の危険レベルを「3」に引き上げ、渡航の中止を勧告しました。

中国の湖北省武漢を中心に新型のコロナウイルスによる肺炎が相次いでいることを受けて外務省は24日夕方、中国に滞在していたり、滞在を予定していたりする日本人を対象に出している「感染症危険情報」のうち、武漢を含む湖北省全体の危険レベルを「3」に引き上げ、渡航の中止を勧告しました。

茂木外務大臣は記者会見で「武漢市での感染は、ますます増えており、感染の地理的拡大が懸念される」と述べました。

そのうえで外務省内に対策チームを立ち上げたことを明らかにし、「関係省庁や現地大使館と連携し、在留邦人の安全確保を第一に、政府一丸となって対応したい」と述べました。

また、茂木大臣は在留届などにより、合わせて710人の日本人が武漢にいることが確認されているとして、「順次、安否確認をしているが、現地邦人に緊急の事態が生じたという情報には接していない。生活物資などの支援の要望があれば、すぐに対応できるよう緊密に連絡をとっていきたい」と述べました。

企業に出張禁止の動き

渡航中止の勧告を受けて、武漢に販売と開発の拠点がある大手電子部品メーカーの日本電産と、武漢に事務所を構える通信大手のKDDIは全社員に対して湖北省への出張を禁止する通達を出すことを決めました。

また、化学メーカーの「昭和電工」は全社員に対して湖北省への渡航を禁止する通達を出しました。湖北省に昭和電工の中国の拠点はないということですが、湖北省での顧客との商談のための出張を禁止するということです。

物流会社の「近鉄エクスプレス」も24日夜、国内外のすべての社員に対し武漢への渡航を禁止する通知を出しました。

金融機関の対応

外務省が渡航の中止を勧告したことを受けて金融機関も対応を強化しています。

三菱UFJ銀行は、従業員に武漢への不要不急の出張をやめるよう促していましたが、24日付けで武漢がある湖北省への渡航を原則、中止するよう通達しました。

また、武漢には銀行の支店がありますが、春節に合わせて休業し、日本人の従業員の多くは日本に帰国しているため、現地で特段の対応はとらないということです。

みずほ銀行は、すでに武漢への出張を禁止していましたが、24日から対象を拡大し湖北省への出張を禁止しました。

三井住友銀行は、23日から武漢や周辺地域への出張を原則禁止しています。

安倍首相が検査体制整備など指示

政府は24日午前、総理大臣官邸で関係閣僚会議を開き、安倍総理大臣をはじめ、加藤厚生労働大臣や茂木外務大臣らが出席しました。

この中で安倍総理大臣は各国での患者数が増えていることや日本国内でも2人目の感染者が確認されたことなどを踏まえ、検疫所での水際対策をいっそう徹底することや感染の有無を調べる詳しい検査を国立感染症研究所だけでなく各地の主要な衛生研究所でも行えるよう体制を整備することを指示しました。

また、国民への迅速で的確な情報提供や国内での感染拡大の防止、国外に滞在している日本人の安全確保に全力を挙げることも指示し「国民の皆さんには過剰に心配することなく、一般的な風邪の予防策を励行し、落ち着いて行動していただくようお願いしたい」と呼びかけました。