会代表質問 公文書
IR汚職・経済運営など論戦

国会では、22日から、安倍総理大臣の施政方針演説に対する代表質問が始まり、IR=統合型リゾート施設をめぐる汚職事件や、今後の経済運営などで論戦が交わされました。

22日は衆議院本会議で、立憲民主党、自民党、国民民主党が質問しました。

立憲民主党の枝野代表は、「桜を見る会」をめぐり、「疑惑まみれのまま安倍総理大臣が職にとどまれば日本社会のモラル崩壊が続くばかりだ」として、辞任を要求したうえで招待者名簿の有無を再調査するよう求めました。

安倍総理大臣は「招待者名簿は、廃棄を確認したと承知しており改めて調査を指示することは考えていない」と述べました。

一方で、過去の招待者名簿が行政文書の管理簿に未記載だった問題について「民主党政権当時の措置を前例に漫然と平成25年以降も登録しなかったものだ。公文書管理法違反であり、当時の担当課長を厳正に処分した。安倍内閣では官房長官などから指示や示唆をしたことはない」と述べました。

また、枝野氏はIRをめぐる汚職事件について「安倍政権の職務行使そのものの問題だ。責任が極めて重いことを認識しているのか」とただしました。

安倍総理大臣は「まことに遺憾で、事態を重く受け止めている。詳細なコメントは捜査に影響する可能性があり差し控える。IRの推進には国民的な理解が大変重要でカジノ管理委員会や国会での議論も十分に踏まえて丁寧に進めていきたい」と述べました。

さらに、去年辞任した河井前法務大臣と、菅原前経済産業大臣について、枝野氏は「長期にわたり雲隠れし最近も具体的な説明はなかったが、説明責任を果たしたと受け止めているのか」と追及しました。

安倍総理大臣は「辞任は大変申し訳なく、責任を痛感しており、行政を前に進めることで責任を果たす考えだ。一人一人の政治家がみずから襟を正すべきで、可能なかぎり説明を尽くすものと考えている」と述べました。

続いて、自民党の二階幹事長は、日本経済について「消費税率アップの弊害や東京オリンピック・パラリンピック後の景気後退を懸念する声もないとは言えない」と述べ、今後の対応を質問しました。

安倍総理大臣は「総合経済対策で海外発の下方リスクに万全の備えを行い、東京オリンピック・パラリンピック後も見据え、切れ目なく政策を実行し、デフレ脱却と経済再生への道筋を確かなものにしていく」と述べました。

また、二階氏は、憲法改正論議について、「憲法改正のスケジュールは、期限ありきではない。ゆめゆめ拙速に走るようなことがあってはならない」と指摘しました。

安倍総理大臣は、「憲法審査会で議論することが国会議員の責任ではないか。憲法改正のスケジュールは期限ありきではないが、与野党の枠を超えた活発な議論を期待している」と述べました。

さらに、二階氏は、ことし春に予定されている習近平国家主席の日本訪問を「歴史的に意義の大きい訪日と位置づけ、成功させなければならない」としたうえで、今後の中国に対する姿勢を問いました。

安倍総理大臣は「日本と中国は、地域や世界の平和と繁栄に、大きな責任を有している。習主席の国賓訪問を、その責任を果たすという意思を内外に明確に示す機会としたい」と述べました。

最後に国民民主党の玉木代表が質問に立ち、IRをめぐる汚職事件に関連し、「自民党の現職議員の逮捕は言語道断だ。疑惑にまみれたIR事業の推進を凍結すべきだ」と求めました。

安倍総理大臣は「IRは観光先進国の実現を後押しするものだ。基本方針についても、現在、国土交通省で関係省庁との協議を加え、丁寧に策定作業を進めている」と述べました。

また、玉木氏は、自民党の憲法改正案について、「特に9条改憲案は問題がありすぎる。憲法審査会での円満な議論のために、いったん取り下げてはどうか」と述べました。

安倍総理大臣は「自民党の案はたたき台で、問題があるというならば、国民民主党の案や考え方を憲法審査会で示していただきたい。憲法改正の合意形成の過程で、特定の党の主張がそのまま通ることがないのは当然だ」と述べました。

23日は、衆参両院で代表質問が行われます。

自民 二階氏「桜は散ってしまった」

自民党の二階幹事長は、記者団に対し、「経済や外交の重要な問題で、ぬくもりのある、しっかりとした答弁をいただいた。憲法改正は国民の理解を求め続けないといけない課題だ。ずっと先に延ばしていい問題ではないので、国会で期限を切らずに議論を始めることが大事だ」と述べました。

また、野党側が「桜を見る会」や、IRをめぐる汚職事件などを質問したことについて、「マスコミが取り上げるから、うれしがってやっているのだろうが、この程度だ。桜は散ってしまった。早く次の建設的な問題に議論を移さないとだめだ」と述べました。

立民 枝野氏「相変わらず支離滅裂な答弁」

立憲民主党の枝野代表は、記者団に対し「最も大きなテーマの『桜を見る会』、カジノをめぐる問題、2人の閣僚の辞任について問いただしたが、安倍総理大臣は、相変わらず支離滅裂で論理的に整合性の取れない、めちゃくちゃな答弁しかせず、大変残念だ。予算審議を通じて矛盾を明らかにするスタートラインに立った」と述べました。

国民 玉木氏「政権運営 行き詰まりでは」

国民民主党の玉木代表は、記者団に対し「『桜を見る会』やIRをめぐる汚職事件の裏で経済や外交など本質的な政策や政権運営が行き詰まっているのではないか。こうした問題を論戦することが安倍政権を倒す近道だと思うので、予算委員会を中心に徹底的に論争したい」と述べました。

菅原前経産相「代表質問 真摯に受け止める」

自民党の菅原・前経済産業大臣は、衆議院本会議に出席したあと、代表質問でみずからが取り上げられたことについて、「真摯(しんし)に受け止めたい」と述べました。

衆議院本会議で行われた代表質問で、立憲民主党の枝野代表は、去年辞任した菅原・前経済産業大臣と河井・前法務大臣について、「長期にわたり雲隠れし、最近も具体的な説明はなかった」と追及し、安倍総理大臣は、「一人一人の政治家がみずから襟を正すべきで、可能なかぎり説明を尽くすものと考えている」と述べました。

本会議に出席していた菅原氏は、記者団に対し、「真摯に受け止めて、国会での活動や、政治活動でしっかり示していきたい」と述べました。

一方、河井氏は、本会議に出席したあと、記者団の問いかけには応じませんでした。