型コロナウイルスへの
対応 日本国内では

新型コロナウイルスへの感染者が日本国内で初めて確認されたことを受けて、政府は、検疫所での健康状態の確認といった水際対策を徹底し、医療機関で感染が疑われる人が確認された際の検査を着実に運用するなどとした対応方針を決定しました。

政府は、21日午前、総理大臣官邸で関係閣僚会議を開き、新型コロナウイルスへの対応方針を決定しました。

それによりますと、感染のリスクが高い地域からの入国者や帰国者に対し、検疫所で健康状態を確認するなどの水際対策を徹底し、医療機関で感染が疑われる人が確認された場合には、国立感染症研究所で検査する仕組みを着実に運用するとともに、感染者との濃厚接触者の把握を徹底するとしています。

また、各国や関係機関と緊密な連携を図り、発生国での感染状況や、WHO=世界保健機関、各国の対応状況などに関する情報収集に最大限努力するとしたうえで、国民に迅速、かつ的確な情報提供を行い、安心・安全の確保に努めるとしています。

安倍総理大臣は「現時点で、持続的なヒトからヒトへの感染が確認されている状況ではないが、中国では引き続き患者数が増加しており、一層の警戒が必要だ。感染症の発生状況などの情報収集の徹底などに万全を期してほしい」と述べました。

官房長官「感染拡大防止に万全期す」

菅官房長官は、閣議のあとの記者会見で、「決定した対応方針に基づき、中国・武漢から航空機で入国する人に、健康状態を確認するための質問書を新たに配布するなど、水際対策を強化することにしている」と述べました。

そのうえで、「検疫時の症状などにかかわらず、すでに全国の医療機関で、武漢に渡航歴があり、原因が明らかでない肺炎患者を把握する仕組みを構築しており、その着実な運用を徹底するなど、感染の拡大防止に万全を期していきたい」と述べました。

厚労相 水際対策を強化

加藤厚生労働大臣は、関係閣僚会議を受けて、中国からの入国者に対して、健康確認を徹底するなど、水際対策を強化する方針を明らかにしました。

具体的には、▼中国・武漢から航空機で入国する人に対して、健康状態を把握するため、症状に関する質問票を新たに配布するほか、▼武漢に加え、上海からの航空便でも、発熱などがある場合は自己申告するよう、機内アナウンスを流すということです。

加藤大臣は、閣議のあとの記者会見で「22日、WHO=世界保健機関の緊急会合が開催されることになっており、その結果も踏まえつつ、リスクの変化に応じ、関係各所と連携しながら対策の強化を図り、万全の対応を行っていきたい」と述べました。

国交相 旅行会社への情報提供など指示

国土交通省で臨時の幹部会議が開かれ、赤羽国土交通大臣が旅行会社への情報提供や水際対策の徹底などを指示しました。

中国の湖北省武漢を中心に、新型コロナウイルスによるとみられる肺炎の感染が広がっていて、日本国内でも先週、感染が明らかになっています。

これを受けて国土交通省は21日午前、臨時の幹部会議を開き、この中で赤羽国土交通大臣が「厚生労働省など関係省庁と緊密に連携して、新型コロナウイルスへの対応に万全を期すように」と述べました。

そのうえで、さらなる感染拡大に備え、▽旅行会社や航空会社に迅速に情報提供を行うことや、▽空港や港湾施設での検疫が円滑に行われるように水際対策の徹底に必要な支援を行うことなどを関係部署に指示しました。

外務省が中国に「感染症危険情報」

外務省は21日夜、中国に「感染症危険情報」を出し、中国に滞在する日本人を対象に感染に関する最新の情報を入手し、予防に努めるなど、十分注意するよう呼びかけています。そのうえで、日本に帰国した際、せきや発熱などの症状がある場合は、マスクを着用するなどして、医療機関を受診するよう、呼びかけています。

中国からの旅行者は959万人

日本政府観光局によりますと、去年1年間に日本を訪れた旅行者は推計値で中国が最も多く、959万4300人にのぼり、前の年と比べて14.5%増えています。

このうち、去年の旧正月「春節」の連休期間が含まれる2月は72万3600人と全体のおよそ8%を占めました。

観光庁によりますと、ことしは中国路線の冬ダイヤが増便されていることなどから、今月24日から30日までの春節にあわせた大型連休では、日本を訪れる観光客などが増えることが予想されるということです。

武漢との直行便がある関西空港では…

関西空港では、新型のコロナウイルスによるものとみられる肺炎の感染が広がっている中国の武漢との直行便が毎日就航しています。

21日午後4時前にも武漢から直行便が到着し、乗客の多くはマスクを着用していました。

このうち、武漢出身の留学生の女性は、「武漢ではなるべく人混みに行かないようにしていました。母からマスクをするようにと言われたのでマスクをしています。早く解決策ができるよう期待しています」と話していました。

今週末から中国の旧正月、春節の休暇が始まり、関西空港では中国からの観光客が1年で最も多い時期となるのを前に、南海電鉄の関西空港の駅では新型肺炎の感染拡大を防ぐためとして、20日から駅員全員にマスクの着用を義務づけました。

駅の改札やホームでは乗客の誘導などにあたる駅員が、全員マスクをつけて業務に当たる様子が見られました。

この駅では、駅員が自身の身を守るとともに乗客に感染が広がらないようにと、独自で対応を決めたということで、当面、マスクをつけての業務を続けるということです。

新千歳空港では

中国で新型のコロナウイルスによるとみられる肺炎の感染が広がっていることを受けて、新千歳空港では、武漢に滞在した人で熱などの症状がある場合は申し出るよう呼びかけるなど警戒を強めています。

新千歳空港には、北京や上海など中国の10の都市との直行便があり、空港の検疫所の検査場には、武漢に滞在した人で熱などの症状がある場合は申し出るよう呼びかけるポスターを掲示しています。

また、入国者全員に対して日頃から行っている、体の表面の温度を調べるサーモグラフィーによる検査で熱がある人が見つかった場合は、問診で武漢に滞在したかを確認することにしています。

上海から観光で訪れた30歳の中国人の女性は、「上海ではまだ大きな騒ぎにはなっていなかったが、個人的に少し怖いので、マスクの着用や手洗いはしている」と話していました。

厚生労働省小樽検疫所千歳空港検疫所支所の鈴木尚文検疫調整官は、「これから中国では春節を迎え、新千歳空港にも中国各地から多くの人が来る見込みだ。より一層、警戒を強めたい」と話していました。

国内のホテルも予防に乗り出す

札幌市内のホテルでは先週から予防対策に乗り出しています。

客室数340室余りで海外からの宿泊客も多く訪れるJRタワーホテル日航札幌では、宿泊客が触れるエレベーターのボタンや客室のドアノブは、すべてアルコール消毒を徹底する対策を始めました。

さらに、発熱があるなど感染が疑われる宿泊客には、38度以上の熱があるかどうかや、現在の健康状態、感染した患者が確認された地域を訪れたことがあるかを尋ねる英語を併記した質問票も新たに作成しました。

このほか、新型肺炎の感染者が確認された場合に備え、マスクや消毒液が入ったホテル内の救急セットをさらに性能がよいものに取り替えることを検討しているということです。

JRタワーホテル日航札幌の中村正彦マーケティング部長は「安心して泊まってもらえるように対策を始めている。十分注意して、万全の体制でお迎えできるようにしている」と話しています。