ウジ国王と安倍首相会談

サウジアラビアを訪れている安倍総理大臣は、日本時間の12日夜、サルマン国王と会談し、中東情勢の安定化に向けた外交努力を尽くす日本の立場を伝えるとともに、自衛隊派遣の目的などを説明し、理解を求めました。

安倍総理大臣とサウジアラビアのサルマン国王との首脳会談は、およそ30分間行われた午さん会に続いて、日本時間の12日夜8時半すぎから首都リヤドにある宮殿で始まり、およそ40分間行われました。

サルマン国王との首脳会談は2017年3月以来、3回目となります。

冒頭、サルマン国王は「あらゆる分野で日本との協力が強化されていることをうれしく思う。エネルギーのみならず、多くの分野で日本と戦略的パートナーシップが深化していくことを期待している」と述べました。

これに対し安倍総理大臣は「本年はサウジアラビアでG20リヤドサミット、日本で東京オリンピック・パラリンピックが開催される歴史的な年であり、緊密に協力して成功させたい」と述べ、両首脳は協力してこれらの行事を成功させることで一致しました。

また、安倍総理大臣はサウジアラビアが進めている改革について、地域の安定に不可欠だとして高く評価するとしたうえで、エネルギー以外にも幅広い分野で協力を加速化させて、改革を全面的に支援する考えを伝えました。

これに対し、サルマン国王は「改革を進めるうえで日本は重要なパートナーだ」と述べ、両首脳は引き続き両国の協力を進展させていくことを確認しました。

スンニ派の大国サウジアラビアは、シーア派の大国イランと4年前に国交を断絶し、その後も緊張状態が続いていて、中東情勢をめぐって、安倍総理大臣は情勢の安定化に向けた外交努力を尽くす日本の立場を伝えるとともに、自衛隊派遣については、日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集態勢を強化するためだという日本政府の考えを説明し、理解を求めました。

サウジ皇太子と会談 緊張緩和へ力を結集で一致

安倍総理大臣は12日夜、首都リヤドでサルマン国王との首脳会談を行ったあと、北西部のウラに移動して、ムハンマド皇太子と日本時間の13日午前2時半すぎから、会談しました。

安倍総理大臣は、サウジアラビア側が用意した民族衣装を着用して会談に臨み、会談は通訳のみを交えて2人だけで行った20分間を含め、およそ1時間行われました。

会談では、中東地域の緊張緩和と情勢の安定化に向けて、集中的な意見交換が行われ、安倍総理大臣は「イランを含む中東地域での軍事衝突は世界の平和と安定に大きな影響を及ぼす。事態のさらなるエスカレーションは何としても避ける必要がある。サウジアラビアをはじめとする各国の抑制的な対応を評価する」と述べました。

そして「日本は最大限の外交努力を粘り強く行い、すべての関係者に緊張緩和のための外交努力を尽くすことを求めている」と述べ、引き続き関係国の自制的な対応を望むとともに、サウジアラビアと緊密に連携していく考えを伝えました。

これに対し、ムハンマド皇太子は、日本の外交努力を評価したうえで「安倍総理大臣の見方に完全に同意する。この地域の緊張は世界全体に悪影響を及ぼす。当時国間の対話が必要不可欠だ」と述べ、サウジアラビアもさらに取り組みを強めていく意向を示しました。

そして、両者は地域の安定と緊張緩和に向けて、関係国が力を結集すべきだという認識で一致しました。

また、中東地域への自衛隊派遣について、安倍総理大臣から、日本関係船舶の安全航行の確保を目的に自衛隊による情報収集を行うと説明したのに対し、ムハンマド皇太子は「日本の取り組みを完全に支持する」という意向が示され、船舶の航行の安全確保に向けて、引き続き両国が連携することで一致しました。

さらに安倍総理大臣がムハンマド皇太子が進める改革を全面的に支援する考えを伝えたのに対し、ムハンマド皇太子は「日本との協力は重要であり、さらに協力関係を深めたい」と述べました。

そして、ことしサウジアラビアが議長国となって開かれるG20サミットの成功に向けて、緊密に連携していくことで一致しました。

会談に同席した岡田官房副長官は記者団に対し「対話の重要性についての認識は両者一致していた。会談では、ざっと半分ぐらいが、地域の安定と緊張緩和、航行の安全確保に時間が割かれ、いちばんの論点だった」と述べました。

外相と会談 中東情勢の緊張緩和へ連携を表明

安倍総理大臣は、日本時間の12日午後4時すぎから、首都リヤドにある迎賓館で、ファイサル外相と会談しました。

会談の冒頭、安倍総理大臣は「中東情勢が緊迫の度を高めていることを深く憂慮している。日本政府として、地域の緊張緩和、情勢の安定化に向けて関係国とも連携しつつ、粘り強く外交努力を続けていく考えだ。アラブ世界、そしてイスラム世界の盟主であるサウジアラビアとも緊密に連携していきたい」と述べました。

これに対し、ファイサル外相は「地域の情勢安定化を図ることは日本とサウジアラビア共通の重要事項であり、引き続き緊密に連携したい」と述べました。

また、安倍総理大臣が、中東地域への自衛隊派遣について、日本関係船舶の安全確保を目的として、自衛隊による情報収集を行うと説明したのに対し、ファイサル外相は、航行の安全確保はすべての関係国の責任だとして、日本の決定を歓迎する意向を示しました。

エネルギー相と会談 石油の安定供給で謝意

安倍総理大臣は日本時間の12日午後、アブドルアジズ・エネルギー相と会談し、去年9月に石油関連施設が攻撃されたあと、石油生産の迅速な回復も含め、安定供給への謝意を伝え、今後も両国関係を発展させていくことを確認しました。

この中で安倍総理大臣は、石油の安定供給への謝意を伝えるとともに、去年9月に石油関連施設が攻撃されたあと、サウジアラビア政府が石油生産を迅速に回復したことを称賛しました。

そして「中東地域が緊迫の度を高める中、引き続き協力をお願いしたい」と述べました。

これに対し、アブドルアジズ・エネルギー相は「長年にわたり、重要なパートナーである日本と引き続き協力していきたい」と応じ、今後もサウジアラビア政府として、石油の安定供給に向けて関与していく考えを伝えました。

そして、両氏はエネルギー分野における協力や、G20リヤド・サミット成功への協力も含め、幅広い分野で今後も両国関係を発展させていくことを確認しました。