縄でCSF“豚コレラ”
感染確認 1986年以来

沖縄県うるま市の養豚場で飼育されているブタが、ブタの伝染病、CSFいわゆる豚コレラに感染していることが確認されました。沖縄県内で豚コレラに感染したブタが確認されたのは1986年以来です。

CSF、いわゆる豚コレラは感染力が強い豚やイノシシの病気で、人に感染することはありません。

沖縄県によりますと、うるま市にある、およそ400頭が飼育されている養豚場のブタがCSF、豚コレラに感染しているのが確認されました。6日、この養豚場からブタが死んでいるという報告があり、県の家畜衛生試験場で検査を行ったところ、豚コレラへの感染の疑いが見つかり、国の検査で8日、感染が確認されました。

沖縄県内で豚コレラに感染したブタが確認されたのは1986年以来です。県は、すでに養豚場のブタの移動を制限していて、今後、殺処分を進めるとともに、防疫措置を講じることにしています。

農林水産省によりますと、豚コレラは国内ではおととし9月岐阜県で感染が確認されたあと、これまでに13の府県でブタや野生のイノシシに感染が広がっていましたが、中部や関東、関西地方以外で感染が確認されたのは初めてです。

専門家「地続きでない沖縄での確認は深刻な事態」

CSF、いわゆる豚コレラに詳しい北海道大学の迫田義博教授は、沖縄県の養豚場で初めてCSFに感染したブタが確認されたことについて「国内、国外、どちらから入ったにしろ、地続きではない沖縄県でCSFが確認されたのは深刻な事態だ」と話しています。

そのうえで、中国などでは感染力が極めて強く、ワクチンもない、ASF、いわゆるアフリカ豚コレラの感染が広がっているとして「日本全国どこでもCSFの感染リスクはあるということだ。残念ながら、ASFがいつ入ってきてもおかしくないほど、水際対策や防疫体制が甘いということだ」と指摘しました。

また、今後の対応として「ウイルスを分析して、感染経路の解明を早急に進めることが必要だ。そのうえで、国や自治体、生産者など養豚関係者は、ウイルスを養豚場に持ち込ませないよう、衛生管理の基準をさらに上げたり、空港や港での水際対策をもう一度点検したりするなど、できるかぎりのことをして、可能ならば対策を見直すべきだ」と述べ、対策の強化の必要性を強調しています。

CSF 国内での感染 これまでの経緯

CSF、いわゆる豚コレラは強い感染力を持つブタの伝染病で、おととし9月、国内で26年ぶりに岐阜県で感染が確認されたあと、中部地方や関東地方に感染が広がりました。これまで合わせて13の府県でブタと野生のイノシシに感染が広がり、15万頭以上のブタが殺処分されています。

農林水産省は、野生のイノシシが感染を広げているとして、捕獲を強化したり、イノシシの餌にワクチンを混ぜて食べさせたりするなどの対策を進めてきました。

しかし、拡大が食い止められず、去年9月にはブタの飼育頭数が多い北関東に隣接する埼玉県で発生し、さらなる感染拡大の懸念が強まったため、農林水産省はそれまでの対応を変更し、10月、養豚場のブタにワクチンを接種することを決めました。

ブタへのワクチン接種は、岐阜県や群馬県など関東や中部地方の12県で始まった後、周辺の地域でも行われ、現在は、茨城県から京都府までの合わせて20都府県で行われています。こうした中、感染が相次いだ中部や関東から遠く離れた沖縄県の養豚場のブタでCSFへの感染が確認されたことから、専門家からは防疫体制の不備を指摘する声も上がっています。

沖縄県は、ブタを使った料理が多く食べる地域で、おととしのデータでは、飼育されているブタの頭数は全国で13位のおよそ22万6000頭となっています。今回のCSF発生を受けて、防疫体制を強化するとともに影響を少しでも抑えることが課題になります。

ワクチン接種地域は、
(感染地域)群馬県、埼玉県、長野県、山梨県、静岡県、愛知県、岐阜県、富山県、石川県、福井県、滋賀県、三重県
(周辺地域)茨城県、栃木県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、京都府、奈良県