興祈念公園の一部開園
「祈りの場所が」南三陸町

東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県南三陸町の中心部で整備が進められている復興祈念公園の一部が開園し、職員など43人が犠牲になった旧防災対策庁舎の近くにも行けるようになりました。

震災で800人以上が犠牲になった南三陸町では祈りをささげて教訓を伝える「震災復興祈念公園」を被害が大きかった中心部に整備していて、公園全体のおよそ6ヘクタールのうち1.2ヘクタールが完成したことから、17日開園を迎えました。

現地では住民などおよそ70人が集まって除幕式が行われ、高さが20メートルほどある「祈りの丘」の頂上に設置された石碑の中に遺族の了解が得られた804人の犠牲者の名前が記された名簿が納められました。その後、参加者全員が献花をしました。

公園内には職員など43人が犠牲になった旧防災対策庁舎があり、工事のため3年前から立ち入り禁止となっていますが、今回の開園で庁舎の全景が見える近くの場所まで行けるようになりました。

父親を旧防災対策庁舎で亡くした及川渉さん(37)は除幕式に出席して庁舎全体を見たあと、「きょうは改めて悲しい記憶と向き合う日となりましたが、過去を見つめ、震災の教訓を語り継ぐ場所になってほしいです」と話していました。

震災当時、庁舎の屋上で生き残った佐藤仁町長は「祈りの場所がようやく完成し、旧防災対策庁舎の姿もようやく見ることができ、感慨深いです」と話していました。

公園のすべてが完成して全面オープンとなるのは、来年秋ごろになるということです。