婚ひとり親の所得税軽減
500万円以下の世帯で 自公

来年度の税制改正で焦点の1つとなっている未婚のひとり親に対する所得税の軽減措置について、自民・公明両党は、年間の所得が500万円以下の世帯を対象とすることで合意しました。

来年度の税制改正に向けて、自民党は児童扶養手当を受けている未婚のひとり親を対象に所得税の軽減措置を講じる案を検討していました。

ただ、この案では、対象者が子ども1人の場合、年間の所得が230万円未満の親に限られるため、公明党からは配偶者と死別したり離婚したりした親に適用される「寡婦控除」と所得制限などで差が出るとして懸念する声が出ていました。

そして、10日開かれた自民党税制調査会の小委員会でも、部屋の前に未婚のひとり親などがプラカードを持って集まり、稲田幹事長代行らから「寡婦控除」と同様に支援するよう求める意見が相次ぎました。

このため、自民党税制調査会は幹部会合で、対象を「寡婦控除」と同じく、年間の所得が500万円以下の世帯に広げ、控除額も35万円とする案をまとめました。

このあと、自民党は、公明党と協議し、こうした案で合意しました。自民・公明両党は、12日決定する税制改正大綱に盛り込むことにしています。

「日本社会が変わっていく」

自民党本部に集まった、みずからも未婚のひとり親で支援団体の理事長を務める赤石千衣子さんは記者団に「いろんなところで、差別や取り扱いに差があることを感じてきたので夢のようだ。公平になるということで、日本の社会が変わっていくと感じた」と話していました。

自民 稲田氏「家族観の問題より公平・平等の問題」

自民党の稲田幹事長代行は記者団に、「家族観の問題というより、公平・平等の問題で、新たな差別を生み出さないかと危機感を持っていたが、私たちの主張を理解してもらえた。130人を超える自民党議員が賛同してくれたり、ひとり親たちが運動してくれたりした成果だ。自民党こそ多様性を認めなければならない」と述べました。

自民党の甘利税制調査会長は記者団に、「婚姻歴の有無や、男性・女性で不公平がないように決めさせてもらった。自民・公明両党で議論してきた問題を整理しようと強い決意を持ってきたが、両党間でそれを共有できた」と述べました。

公明 西田氏「子どもの視点に立った改革」

公明党の西田税制調査会長は記者団に、「今回の税制改正論議は子どもの視点に立った抜本的な改革だ。親の事情によって差別がないようにしようと、さまざまな点に配慮しながら、これまでなかなか改革の及ばなかったところができた」と述べました。