東副大臣の支部 公共
工事受注会社から選挙中寄付

農林水産省の伊東良孝副大臣が代表を務める自民党の支部が、おととしの衆議院選挙の期間中に、国の公共工事を受注していた地元の建設会社から合わせて260万円の寄付を受けていたことが分かりました。公職選挙法は国の工事などを請け負う業者が国政選挙に関して寄付することを禁じていて、伊東副大臣の事務所は「返金するかどうか検討している」としています。

政治資金収支報告書によりますと、伊東副大臣が代表を務める「自民党北海道第七選挙区支部」は、おととし10月の衆議院選挙の期間中、地元の建設会社6社から合わせて260万円の寄付を受けていたほか、9月28日の衆議院の解散後から公示日までの間にも建設会社など9社から合わせて192万円の寄付を受けています。

公職選挙法は国の公共事業を請け負う業者が国政選挙に関して寄付することを禁じていますが、NHKが取材を進めたところ、この15社はいずれも当時、北海道開発局が発注する区画整理工事や国道の災害復旧工事など国の公共事業を請け負っていました。

NHKの取材に対し伊東副大臣の事務所は「いずれの寄付も政党支部の活動に対するご支援と受け止めています。ご指摘の会社が国の公共工事を受注していることについては全く知りませんでした」としたうえで、「返金するかどうか検討している」としています。

選挙期間中の寄付 返金相次ぐ

国会議員が代表の政党支部をめぐっては、おととしの衆議院選挙の期間中に国と契約を結んでいる企業から寄付を受けていたと報じられ、返金するケースが相次いでいます。

高市総務大臣が代表の自民党支部は、警察庁などと取り引きのあった奈良市の会社から30万円の寄付を受けていたと報じられ、ことし9月、返金したことを明らかにしました。

この際、高市大臣は「献金を受けた時点でその企業が国と契約していることは知らず、弁護士に確認したところ公職選挙法への抵触は全くないという回答だった」としたうえで、「選挙制度などを所管する大臣として疑義を持たれるのは不本意なので、道義的な関係から全額を返金した」と説明しました。

また、いずれも自民党の小林茂樹衆議院議員と奥野信亮衆議院議員が代表の2つの政党支部も、奈良市の同じ会社からそれぞれ100万円と50万円の寄付を受けたと報じられ、いずれの支部も「公職選挙法には抵触しない」という認識を示したうえで「道義的な観点から全額を返還する」と述べました。

このほか法務省の宮崎政久政務官と國場幸之助衆議院議員が代表の自民党支部も、防衛省の工事を受注していた那覇市の建設会社からそれぞれ20万円と30万円の寄付を受けていたことがわかり、2人の事務所はいずれも「国から工事を受注していることは報道が出るまで知らなかった。全額を返金した」としています。

専門家「政治家も企業も法律の理解を」

政治資金の問題に詳しい日本大学の岩井奉信教授は「何をもって『選挙に関連する寄付』とするかについては解釈にあいまいな点もあるが、政党支部とその代表の政治家は表裏一体であり、選挙期間中に国の事業を受注している業者が政党支部に寄付することは公職選挙法に抵触する疑いがあり、返金すべきだ。過去にも同じような問題を指摘されて政治家が寄付を返金するケースも散見され、政治家も寄付する側の企業も法律をきちんと理解して対応する必要がある」と指摘しています。