ネッセ実施の英語検定
試験 トラブル相次ぐ

来年4月の実施が延期された英語の民間試験。その事業者の1つ、ベネッセがことし実施した検定試験で、リスニングなどのトラブルが相次いでいたことが分かりました。ベネッセは関連会社が大学入学共通テストの記述式問題の採点も担当することから、公正、公平な試験ができるのか懸念が広がっています。

英語の民間試験をめぐり、文部科学省は今月1日、予定していた来年4月からの実施の延期を決めました。民間試験をめぐっては「経済格差」や「地域格差」への懸念とともに、試験監督や採点業務にアルバイトなどを活用するため、公正、公平な試験が実施できるかが、課題とされていました。

こうした中、ことし8月、ベネッセが本番を想定して実施した「GTEC」の検定試験で、リスニングのトラブルが起きていたことが関係者への取材で分かりました。

ベネッセは文書で、試験監督の手違いでリスニングで使ったCDの音量が十分でない状態で実施したと釈明しています。

試験に関わった関係者は「生徒はかなり動揺していた。企業側は生徒のことをもっと考えてほしい。そして、こういったトラブルも積極的にオープンにしてほしい」と証言しました。

このほか、ことし6月には別の高校で行われた試験でも、試験監督のミスにより、実施時間が遅れていたということで、高校側に謝罪していました。

これらについて、ベネッセは「来年の本番を見据えた試行調査として実施した。現時点で個別事案についてのコメントは控えさせていただきます」としています。

ベネッセは関連会社が再来年1月に始まる大学入学共通テストで、国語と数学の記述式問題の採点業務にあたります。そこにはアルバイトの学生など1万人ほどが必要とされていますが、十分な質は確保されるのか、国とベネッセは公平な試験に努めるとしていますが、受験生や高校関係者に懸念が広がっています。

入試制度に詳しい東北大学大学院教育学研究科の柴山直教授は「今のままでは、国は民間試験のトラブルを監視する役割を果たせない。受験生にふりかかるデメリットを最小限にするにはどうすればいいか、根本的な制度設計を見直さなければいけない」と指摘しています。