韓局長協議「徴用」
めぐり事態打開に至らず

日韓関係が悪化する中、両国の外務省の局長による協議がソウルで行われ、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で意見を交わしましたが、韓国側から新たな提案はなく、事態の打開には至りませんでした。

外務省の滝崎アジア大洋州局長は、16日午後、ソウルで、韓国外務省のキム・ジョンハン(金丁漢)アジア太平洋局長と2時間余りにわたって協議を行いました。

日韓双方の外務省関係者によりますと、日本側は、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で、国際法違反の状態を早期に是正するよう改めて求めたのに対して、韓国側からは新たな提案はなかったということです。

また、日本側は、韓国が、東京電力福島第一原子力発電所の放射性物質を含む水の処理方法をめぐり、IAEA=国際原子力機関により積極的な役割を果たすよう求めたことなどについて、「非建設的な問題提起だ」と懸念を伝えました。

一方、韓国側は、日本が韓国向けの輸出管理を厳しくしたことについて、「徴用」をめぐる問題の報復措置だとして、早期に撤回するよう改めて求めたのに対して、日本側は、軍事転用の可能性がある品目の貿易を適切に管理するためだと説明したということです。

このため、協議での具体的な歩み寄りは見られず、事態の打開には至りませんでした。

また、16日の協議では、天皇陛下が即位を内外に宣言される儀式に合わせて日本を訪問するイ・ナギョン(李洛淵)首相が、安倍総理大臣と短時間会談するかどうかについても意見を交わしたとしています。