務員宿舎に自主避難
退去求める提訴議案可決

福島県議会は3日、原発事故により自主的に避難して国家公務員宿舎に入居し、期限までに退去せず賃貸料金も払っていない人たちを提訴する議案などを可決しました。県は無償での入居期間が終わった後に、県が負担している賃貸料金を支払うよう求める裁判を起こすことになります。

先月9日から開かれていた福島県議会の9月定例会は3日が最終日で、議案の採決が行われました。

このうち、原発事故の避難指示区域の外から、東京・江東区の東雲にある国家公務員宿舎に自主的に避難し期限までに退去していない世帯を提訴する議案は賛成多数で可決されました。

これにより、県は5世帯に対して退去を求めるとともに、無償での入居期間が終わったあとに県が負担している賃貸料金を支払うよう求める裁判を起こすことになります。

これまでの経緯

東京電力福島第一原子力発電所の事故では、避難指示が出されていない地域から自主的に避難した人たちにも災害救助法が適用され、住宅が提供されることになりました。

こうしたいわゆる自主避難者は一時、3万人を超えたとされています。

各地で公営住宅や民間の住宅などが提供され、このうち、東京・江東区の東雲にある国家公務員宿舎には、およそ360世帯が無償で入居しました。

法律では、入居期間は原則2年となっていますが、福島県は原発事故の影響が長期化していることを考慮し、平成29年3月まで4年間延長しました。

そのうえで、次の住まいの確保を支援する措置として、国家公務員と同額の家賃でことし3月を期限に住むことを認めました。

しかし、60世帯余りが期限までに退去せず、県はこのうち賃貸契約を結ばず賃料を一度も払っていない5世帯について、退去と支払いを求め提訴することを決めました。

財務省 期限の設定を働きかけていた

3年前、自主避難者への国家公務員宿舎の提供を終了するのにあたって、当初、福島県が退去期限の設定に難色を示したのに対し、宿舎を貸していた財務省が期限の設定を働きかけていたことが、NHKが福島県に行った情報開示請求でわかりました。

開示された議事録によりますと、翌年の無償提供の終了を前に、平成28年8月に行われた県と財務省の打ち合わせでは、次の入居先が見つからない自主避難者に対し、国家公務員と同額の家賃で入居できるようにする経過措置について話し合われていました。

その際、県が退去の期限について「期限を定めるのは難しい」としたのに対し、財務省は「期限を定めたほうが説得しやすい」と働きかけていました。

これに対し県は「確かに効果的な面はある」などとして受け入れ、次の打ち合わせで、経過措置は2年間とし、ことし3月を退去期限にすると説明していました。財務省はNHKの取材に対し、「延長が必要なら改めて協議することも提案した。期限の設定は最終的に県が判断した」としています。