発マネーが還流か
判明している資金の流れは

多額の金品の受け取りを認めた関西電力。原発をめぐる不透明な金品の流れが明らかになりました。

関係者によりますと金沢国税局が去年、高浜原発の関連工事などを請け負う高浜町の建設会社を税務調査したところ、高浜町の森山栄治元助役がこの会社から工事受注などの手数料としておよそ3億円を受け取っていたことが分かったということです。

そして国税局がさらに調査を進めたところ関西電力の八木誠会長などの経営幹部ら6人が森山元助役からおととしまでの7年間にあわせて1億8000万円を受け取っていたことが分かったということで、このうち4人は税務調査が始まったあと、修正申告したということです。

森山元助役も建設会社から受け取ったおよそ3億円を税務申告しておらず調査のあと国税局に修正申告したということです。

関西電力や関係者によりますと国税局から指摘を受けて関西電力が調査したところ森山元助役から金品を受け取っていたのは、国税局の調査で判明した八木会長ら6人を含む経営幹部や社員、あわせて20人に上り、物品や金銭、あわせて3億2000万円相当を受け取っていたことが分かったということです。

関西電力から原発の立地地域に流れた多額の原発マネーが経営幹部らに還流した形になっています。

関電 類似事例の有無調査へ

関西電力の会長や社長など経営幹部が、関西電力の原子力発電所がある福井県高浜町の元助役から総額3億2000万円に上る金品を受け取っていたことについて、関西電力は、ほかに類似の事例がないか調査することになりました。

関西電力の岡田達志常務執行役員は27日午後、経済産業省を訪れ、資源エネルギー庁の村瀬佳史電力・ガス事業部長に、多額の金品を受け取っていた事実や背景について説明したということです。

説明を終えた岡田常務執行役員は記者団に、「具体的な事実関係を説明した。部長からは、ほかに類似の事例がないか調査をすることと、説明責任をしっかり果たして信頼回復に向けた努力をするよう要請をいただいた」と述べました。

これを受けて関西電力は今後、類似の事例があったかどうか、改めて社内の調査を行うことになりました。

高浜町長「関電から報告受けたい」

関西電力の会長や社長などが、原発が立地する福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていた問題で、地元の高浜町は、近く、関西電力に詳しい経緯などの説明を求めたいとする考えを示しました。

関西電力の岩根茂樹社長は27日、大阪の本社で記者会見を開き、自身と八木誠会長などの経営幹部や社員併せて20人が、関西電力の原発がある高浜町の森山栄治元助役から物品や金銭、合わせて3億2000万円相当を受け取っていたことを明らかにしました。

多額の金品の受領は去年、金沢国税局の税務調査で指摘され、その後、一部もしくは全部を返還し、修正申告したということです。

この問題を受けて、高浜町の野瀬町長は27日、取材に対し「非常に遺憾なことだ」としたうえで、「役場の元職員ではあるが今の行政とは直接関係はない」と述べ、町の組織的な関与を否定しました。

そして、「関西電力には組織文化の再構築を強く求めるとともに、近いうちに関西電力の役員から報告を受けたい」と述べ、近く、詳しい経緯などの説明を求めたいとする考えを示しました。

また、福井県の杉本達治知事も「関西電力は、国民、県民に対して事実関係を明らかにする必要がある」とコメントを出し、地元では説明責任を厳しく問う声が上がっています。
元助役 原発誘致を託され尽力か
森山栄治 元助役は昭和44年に、それまで勤めていた京都府の綾部市役所を辞め高浜町役場に入庁しました。

町の関係者によりますと、当時の町長の強い要望でひっ迫していた町の財政を建て直すため、原子力発電所を誘致する事業などを託されたとみられています。

転職後は、原発の誘致などに向けて地元の取りまとめに尽力し、森山氏が助役を務めていた昭和62年までの10年間に高浜原発の3号機と4号機が着工し営業運転が始まっていました。