後2000万円必要”
資産形成の議論再開へ

老後におよそ2000万円が必要になるなどとした報告書が批判された金融庁の審議会が25日総会を開き、資産形成に関する議論を再開することを決めました。一方、批判のあった報告書を大臣に答申する手続きはとらず、新たな報告を改めてまとめる方針です。

金融庁の金融審議会では、ことし6月にワーキンググループが報告書を取りまとめ、資金面で老後に備えるためには、およそ2000万円が必要になるなどという試算に批判が寄せられました。

25日、金融審議会は総会を開き、金融庁企画市場局の中島淳一局長が陳謝しました。

そのうえで「安定的な資産形成の実現に向けた環境整備は重要だ」と述べ、ワーキンググループで資産形成に関する議論を再開することを決めました。

一方、批判のあった報告書については「誤解や不安を与えた」として正式な文書として大臣に答申する手続きはとらず、改めて議論して、別の報告書をまとめる方針です。

出席した委員からは「間違ったことを書いていない。世間の反応をそんたくして必要な情報を出さなくなるのは心配だ」とか「6月の報告書も参考にして新たな議論を期待したい」といった意見が出ていました。

金融審議会のワーキンググループの議論は来月にも始まる予定です。

金融庁は批判のあった報告書はこれまでの議論を尊重して、ホームページで掲載を続けることにしています。

菅官房長官「年金こそ老後の柱」

菅官房長官は午後の記者会見で、「報告書については、世間に著しい不安を与えたことから、すでに麻生副総理兼財務大臣が受け取らないことを表明しており、今後、金融審議会のワーキンググループで新たな議論が行われると承知している」と述べました。

そのうえで、「公的年金については、将来にわたり持続可能な制度を構築しており、年金こそが老後の生活設計の柱だ。政府としては、個人が安心して多様な資産形成ができるよう、さまざまな制度を構築しており、審議会ではそうした点も含めて新たに議論する」と述べました。