現の不自由展
「速やかに再開を」検証委

愛知県で開かれている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」で、「表現の不自由」をテーマにした企画展が中止になった問題で、愛知県の検証委員会が中間報告をまとめました。脅迫への対策を講じるなどの条件が整い次第、速やかに企画展を再開すべきだとする内容です。

先月1日から開かれている「あいちトリエンナーレ」では、「表現の不自由」をテーマに、慰安婦問題を象徴する少女像などを展示する企画展が設けられましたが、テロ予告や脅迫ともとれる電話などが相次ぎ、開幕から3日で中止されました。

愛知県は一連の経緯などを検証する委員会を立ち上げ、25日開かれた3回目の会合で中間報告をまとめました。

中間報告では、芸術監督の津田大介氏が混乱を予見しながら展示を強行したことが混乱と被害の最大の要因だ、と指摘しています。

企画展の中止については「差し迫った危険のもとの判断でやむをえず、表現の自由の不当な制限には当たらない」としました。

今後の対応については、
▽脅迫などのリスクを回避するための対策を十分に講じることや、
▽展示方法を改善すること、などの条件が整い次第、速やかに企画展を再開すべきだとしています。

愛知県の大村知事は委員会の中で「条件を整え次第、速やかに再開を目指したい」と述べました。

愛知県知事 芸術監督を厳重注意処分に

愛知県の大村知事は、25日夕方、記者会見を開き、検証委員会の中間報告の内容を踏まえ、芸術監督の津田大介氏を厳重注意の処分としたことを明らかにしました。

そのうえで「芸術祭を本来の姿に戻すためにも中止になった企画展を速やかに再開させたい。今後、企画展の実行委員会のメンバーや、出品した作家と協議して理解を得たい」と述べました。

名古屋市長「展示の再開 とんでもない」

名古屋市の河村市長は、25日夕方、記者団に対し「少女像などの展示の再開はとんでもないことだ。今回の騒動の原因を、全部、芸術監督の津田大介氏のせいにしているように見える。作品が選ばれた経緯などをきちんと明らかにすべきだ」と述べました。

津田氏「『進め方に問題』は疑問残る」

「あいちトリエンナーレ」で芸術監督を務めているジャーナリストの津田大介氏は、愛知県の検証委員会が中間報告をまとめたことを受けて会見を開き、「中間報告では、開催までの進め方や作品の展示方法などに問題があったとされたが、不自由展について攻撃してきた人の大半が実際の展示を見ていないのに、問題だとすることには疑問が残る」と批判しました。

一方で、中間報告が「脅迫への対策を講じるなどの条件が整い次第、速やかに企画展を再開すべきだ」としたことについて「先ほど知った。寝耳に水だった」と述べました。

中間報告の内容を踏まえ、愛知県の大村知事から厳重注意の処分を受けたことについては「厳重注意の処分は受けたが辞任は求められなかったので、責任をもって最後まで芸術監督を続けたい。身を粉にして成功に近づけたい」と述べ、芸術監督を続行する考えを示しました。