艦式に韓国軍艦艇招待
する環境が整っていない」

韓国国防省は、来月行われる海上自衛隊の観艦式について、自衛隊側から招待されていないとして韓国軍が参加しないことを発表しました。韓国は先月、日本との軍事情報包括保護協定=GSOMIAの破棄を決めていて、防衛当局間の協力がさらに損なわれることが懸念されます。

韓国国防省は24日、定例のブリーフィングで、来月行われる海上自衛隊の観艦式について、韓国軍が参加しないことを発表しました。

韓国国防省は、参加しない理由について「主催者側から招待状が来ていないので、主催者側が決めたことだ」と自衛隊側の決定だと強調しています。

観艦式をめぐっては、去年10月に韓国で行われた国際観艦式で海上自衛隊が「旭日旗」(きょくじつき)と呼ばれる旗を艦船に掲げる予定でしたが、韓国側が認めず、自衛隊が参加を見送っていて、今回は韓国側が参加しない形となりました。

韓国政府は先月、日本との軍事情報包括保護協定=GSOMIAの破棄を決めていて、北朝鮮の弾道ミサイルへの対応など安全保障上の影響が指摘されていました。

海自 韓国軍の招待を見送り明らかに

海上自衛隊は、来月行われる観艦式について、厳しい日韓関係が続き、環境が整っていないとして、韓国軍の招待を見送ったことを明らかにしました。

自衛隊観艦式は、ほぼ3年に1度行われ、ことしは来月14日に神奈川県沖の相模湾で行われます。

前々回・平成24年から各国の海軍にも呼びかけていて、海上自衛隊の発表によりますと、今回は、アメリカやオーストラリアなど7か国から艦艇と航空機が派遣されます。

一方、前回・平成27年に参加した韓国軍は参加しないことになりました。

海上自衛隊トップの山村浩海上幕僚長は、24日の記者会見で「日韓関係は非常に厳しい状況が続いており、観艦式に韓国軍の艦艇を招待するための環境は十分に整っているとはいえないものと、防衛省・自衛隊として、総合的に判断した」と述べ、日韓関係の悪化を受けて招待を見送ったことを明らかにしました。

一方、山村海上幕僚長は「日韓、日米韓の連携は重要であると考えており、海上自衛隊としては政府の対応状況を踏まえつつ、韓国海軍との交流について適切に検討していきたい」として、引き続き部隊レベルでの交流を模索したいという考えを示しました。

また、今回の観艦式には中国海軍の艦艇が初めて参加することになり、沖縄県の尖閣諸島をめぐり、一時、停滞していた日中間の防衛交流が進む形となりました。

菅官房長官「日韓関係悪化で環境整っていない」

菅官房長官は午後の記者会見で「今年度の観艦式は、日韓関係が非常に厳しい状況が続いているという観点を踏まえれば、韓国を招待する環境が十分に整っていない」と述べ、海上自衛隊の観艦式に韓国軍を招待しないことを明らかにしました。

一方で菅官房長官は「北朝鮮が短距離弾道ミサイル等の発射を繰り返すなど、わが国周辺および地域の安全保障環境が厳しさを増す中で、日韓、日米韓の連携は重要だ。日韓の防衛当局間の協力・交流については、このような観点を踏まえつつ、適切に対応していきたい」と述べました。

韓国は過去2回参加

韓国軍は、海上自衛隊の創設50年を記念して行われた平成14年の国際観艦式に初めて参加したほか、平成24年に各国の海軍に参加を呼びかけるようになってからは前回・平成27年の観艦式に艦艇を派遣しました。