界各国で若者がデモ
最大規模に 温暖化対策求め

ニューヨークで開かれる国連の温暖化対策サミットを前に20日、若者が中心になって世界各国で温暖化対策を求めるデモが行われました。ニューヨークやベルリンなどの大都市では10万人を超える人が参加し、過去最大規模の動きになっています。

各国で一斉に行われたデモは、スウェーデンの16歳の少女 グレタ・トゥーンベリさんの呼びかけをきっかけに世界に広がった若者たちの運動の一環です。

運動はグレタさんが毎週金曜日に学校を休んで温暖化対策を訴え続けてきたことから「未来のための金曜日」と呼ばれ、来週ニューヨークで開かれる国連の温暖化対策サミットに合わせて今月27日までの1週間、政府や企業に対策の強化を迫っています。

アメリカのニューヨークやドイツのベルリン、オーストラリアのシドニーなどの大都市では数万人から10万人を超える人たちがデモに参加し、各国の地方都市でもデモが広がりました。

北欧デンマーク中部のスカナボーでは地元の高校生の呼びかけで自治体の庁舎前に若者が集まり、対策を求める書簡をトップに手渡していました。

主催した16歳の高校生は「世界のリーダーは議論だけでなく具体的な行動をしてほしい。地球温暖化は深刻な課題で待っている時間はない」と話していました。

温暖化対策サミットには60か国以上の首脳が出席する見通しで、高まる若者の声を受けてどのような成果を打ち出すか注目されます。

NY グレタさん参加「行動しなければ世界変わらぬ」

ニューヨークでは、主催した団体の発表ではおよそ25万人が参加しました。

ニューヨーク市は集会に参加する児童や生徒が学校を欠席することを認めたため、中学生や高校生といった若い世代が中心でした。

参加者は温暖化対策を求めるメッセージが書かれた看板を掲げたり、「今すぐ温暖化対策を」と声を上げたりしながらおよそ2キロを行進しました。

参加した9歳の男の子は「世界各国の政府が何もしなければ僕たちに未来はないと思う。政治家は温暖化対策をすぐに行動に移してほしい」と話していました。

サミットに参加するためアメリカを訪れているグレタさんも参加し、「危機を傍観するのではなく行動しなければ世界は変わりません。サミットに参加する首脳たちに声を届け、行動するよう求めましょう」と訴えかけました。

学校の許可で授業休んで参加した生徒も

アメリカの首都ワシントンでも大勢の子どもや学生たちが、ホワイトハウスや連邦議会議事堂がある中心部をデモ行進し、温暖化対策の必要性を訴えました。

参加者たちは「未来を救うために行動を」などと書かれた横断幕や「行動をすれば希望はある」などと書かれた手作りのプラカードを手に、「今すぐ対策を取ろう」などと声を上げていました。

学校の許可を取り授業を休んで参加したという中学2年の女子生徒は「私たちの未来に関わることなので参加しました。人々のために仕事をするように政治家に声を届けたい」と話していました。

高校2年の女子生徒は「大人たちが対策を取らないなら私たちが行動しなければなりません。未来を生きるのは私たちなのです。今、行動しなければ、将来、皆が影響を受けます。私の声には力があると思います」と話していました。

ベルリン 若者10万人超がデモ

ドイツの首都ベルリンでは、警察の発表で10万人を超える若者たちがデモに参加し、対策の強化を訴えました。

参加した若者たちは「地球の代わりはない」などと書かれたプラカードを掲げ、「今こそ対策が必要だ」などと声を上げてデモ行進をしていました。

参加した22歳の女性は「気候変動を止めるために参加した。温暖化対策を求める動きを真剣に受け止めてほしい」と話していました。

16歳の男子生徒は「温暖化対策をとるかどうかに自分たちの将来がかかっている。将来がないのであれば、学校にいく価値もない」と話していました。

デンマーク 無関心だった若者に変化

デンマーク中部の高校では20日、温暖化対策のデモに参加するため生徒の一部が欠席しました。

生徒が学校を休むことについて高校の副校長は「生徒には授業を受けてほしいが社会とできるだけ関わるようにも教えているので悩ましい」と話していました。

そのうえで、今回は厳しい罰則を取るようなことはしないとしています。

また、ふだん授業で環境問題を取り上げているという英語の教師は「抗議デモをすることなど考えられなかった生徒や、政治活動と関わりのなかった生徒、自分の意見を持っていなかった生徒たちが自分たちに何ができるか考え始めている」と述べて、生徒たちの間に地球温暖化に対する意識の変化が起きていると話していました。