位礼正殿の儀」など
国事行為として閣議決定

政府は20日の閣議で、来月行われる天皇陛下が即位を内外に宣言される儀式と祝賀パレード、それに祝宴にあたる儀式の3つを、憲法で定める国事行為として行うことを決定しました。

国事行為として行うことが決まったのは、
▽「即位礼正殿の儀(そくいれい せいでんのぎ)」(※1)、
▽「祝賀御列の儀(しゅくが おんれつのぎ)」(※2)、
▽「饗宴の儀(きょうえんのぎ)」(※3)の3つです。
また、それぞれの儀式の詳しい手順を定めた「細目」に関する内閣告示なども決定されました。

このうち「即位礼正殿の儀」は来月22日の午後1時から、皇居・宮殿「松の間」で行われ、総理大臣、衆参両院の議長、最高裁判所長官のほか、国会議員や各国の大使など2500人程度が参列する予定です。

前回・平成への代替わりを踏襲し、天皇陛下が歴代天皇の即位の儀式などで使われてきた「高御座」にのぼり、おことばを述べられるのに続き、総理大臣が祝いのことばを述べたあと、総理大臣の発声で参列者が万歳を三唱します。

前回、当時の海部総理大臣は憲法の国民主権の原則を踏まえて、一段低い庭ではなく「松の間」で万歳三唱を発声していて、今回も同様の形で行われます。

また皇族方の服装について、伝統的な装束は高齢の皇族には負担が大きいとして、天皇皇后両陛下と秋篠宮ご夫妻を除き、今回、えんび服やロングドレスも着用できることになりました。

同じ日に実施される「祝賀御列の儀」では、天皇皇后両陛下は午後3時半に皇居を出発し、およそ30分かけて、お住まいである赤坂御所まで向かわれます。

「饗宴の儀」は両陛下のご負担も考慮して、平成の代替わりのときから回数を減らし、来月22日と25日、29日、それに31日の合わせて4回開かれます。

※1 即位礼正殿の儀=天皇が即位を内外に宣言

「即位礼正殿の儀」は、天皇が即位を内外に宣言する「即位の礼」の中心となる儀式です。
前回は、平安時代から儀式での天皇の装束とされる「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」に身を包んだ上皇さまが、歴代天皇に伝わる剣(つるぎ)や曲玉(まがたま)を持った侍従とともに「松の間」に入られました。そして、部屋の中央に置かれた、高さ6メートル50センチ近くある「高御座(たかみくら)」の台座にのぼられました。続いて、十二単(じゅうにひとえ)姿の上皇后さまが、「高御座」の横に置かれた高さ5メートル30センチの「御帳台(みちょうだい)」の台座にのぼられました。

そして、「高御座」と「御帳台」のとばりが開けられると、参列者が起立し、上皇さまが、即位を内外に宣言するおことばを述べられました。

そのあと、総理大臣がお祝いの言葉を述べると参列者が万歳三唱をし、上皇ご夫妻が退出されて儀式が終わりました。

前回は、参列者が着席するスペースとして、宮殿の中庭(ちゅうてい)と呼ばれる庭に張り出す形で仮設のステージが設けられましたが、今回は悪天候になった場合でも対応できるよう、ステージは設置せずに宮殿内に席を設けるということです。

宮内庁は、今回の儀式に向けて、「高御座」と「御帳台」を平成30(2018)年9月に保管先の京都御所から皇居に運び、3月末までに漆の塗り直しや装飾品の修理などの修繕を終えています。

「高御座」は8月下旬から「松の間」で組み立てが始まり、9月6日、作業の様子が報道陣に公開されました。

※2 祝賀御列の儀=祝賀パレード

「祝賀御列の儀」は、天皇が広く国民に即位を披露し、祝福を受ける儀式で、祝賀パレードにあたるものです。

今回のパレードは皇居・宮殿から二重橋前交差点、国会議事堂正門前を経て、平河町の交差点から青山通りに入り、「赤坂御所」までの、およそ5キロのコースです。

パレードの車列には、天皇皇后両陛下、皇位継承順位1位の皇嗣になられた秋篠宮さまと紀子さまのほか、総理大臣と官房長官などが乗った車も加わり、およそ30分かけて行われます。
前回、天皇陛下(今の上皇さま)の即位の際には「ロールスロイス」のオープンカーが使われましたが、老朽化が進んだため、今回は、環境性能なども考慮してトヨタ自動車の「センチュリー」のオープンカーを新たに調達することが決まっています。

雨天の際はオープンカーではなく、天皇陛下が皇室の重要な行事などで乗られる車を使用します。

さらに天候が悪化する見通しの場合、4日後の26日に延期し、26日も悪天候が予想されれば、パレードは取りやめとなります。実施するかどうかは前日となる21日、または25日の午後6時半に発表する予定です。

パレードで使用するトヨタ自動車の「センチュリー」は、使用後は東京 港区の迎賓館や京都市の京都迎賓館で期間を定めて一般公開されることになりました。

前回は皇居 宮殿を出発し、国会議事堂の前などを経由して、当時、両陛下(今の上皇ご夫妻)のお住まいがあった赤坂御用地までのおよそ4.7キロにわたってパレードが行われ、沿道にはおよそ11万7,000人がつめかけました。

※3 饗宴の儀=祝宴

「饗宴の儀」は天皇が祝宴に臨んで即位を披露し、福を受ける儀式です。

「即位礼正殿の儀」と祝賀パレードが行われた後、皇居 宮殿で1回目が行われます。

平成の代替わりでは「即位礼正殿の儀」が行われた平成2(1990)年11月12日から4日連続で7回開かれ、国内外からおよそ3,400人が招待され、出席者に和食などがふるまわれました。

今回は天皇皇后両陛下の負担も考慮して連日での開催を取りやめ、10月中に4日にわけて4回、開かれます。招待者も2,600人程度に減らし、立食形式も交えることで簡素化されることになりました。

外国の元首や三権の長、国会議員、地方自治体の代表などが招かれる予定で、10月22日の1回目のあと、25日に2回目が行われ、続いて29日と31日には立食形式で行われます。