界初「首相が産休」の
アーダーン首相、語る

現職の首相として初めて産休を取得したことで注目されたニュージーランドのアーダーン首相が、NHKのインタビューに応じ、子育て環境の充実を図るためには、男女が最善の選択ができるような環境作りが必要だと指摘しました。

日本を訪れているニュージーランドのアーダーン首相は19日、都内でNHKの単独インタビューに応じました。

この中でアーダーン首相は、おととし、首相就任の直後に妊娠を公表したことについて「正直に言ってとても心配だった。ニュージーランドで前例がないことだった」と述べ、葛藤があったことを明らかにしました。

そのうえで現職の首相として初めて6週間の産休を取ることに一部で否定的な意見もあったものの、多くは肯定的だったと振り返りました。

また、日本では小泉環境大臣の就任にあたって閣僚の育児休暇の取得が話題となる中、アーダーン首相は子育て環境の充実を図るためには「働きながらの子育てなど、自分で選択することができ、その選択が批判されないようにするべきだ」と述べ、男女が最善の選択ができるような環境作りが必要だと指摘しました。

一方、南部のクライストチャーチでイスラム教の礼拝所が襲撃され、50人以上が死亡した銃の乱射事件から今月15日で半年となったことに関連して「イスラム教徒も私たちの一員であり、ニュージーランド全体に対する攻撃だった」と振り返り、引き続き銃規制に取り組む姿勢を強調しました。

アーダーン首相とは

ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は、現在39歳。

子どものころから格差や貧困の問題に疑問を抱き、18歳のときに労働党に入党しました。

大学卒業後は当時の女性首相の事務所で働くなど、政治に関心を深めていきました。

2008年に議会選挙で初当選を果たすと、女性や子どもの権利を守る政策に力を入れ、おととし37歳の若さでニュージーランド史上3人目となる女性の首相に就任しました。

就任から数か月後には妊娠を公表し、出産後は現職の首相として世界で初めて産休を取得して大きな話題となりました。

復職後は国連総会に子連れで出席するなど、仕事と子育てを両立させていて、社会進出を目指す女性のロールモデルとして注目されています。

さらにアーダーン首相は異なる文化や宗教など多様性のある社会の実現にも力を入れています。

ことし3月、南部クライストチャーチでイスラム教の礼拝所が襲撃され、51人が死亡した事件では、イスラム教徒の女性が身につけるようなスカーフをかぶり、遺族たちと面会して信仰の自由を約束するとともに国民に連帯を呼びかけました。

一方で、事件の様子を撮影した動画がSNS=ソーシャルメディアで拡散されると、暴力的な思想や動画の投稿を排除するための対策を、各国政府やSNS運営企業に働きかけてきました。

こうした取り組みにインターネット上ではアーダーン首相にノーベル平和賞を贈ろうという署名活動も行われるなど、国内外で高く評価されています。

女性進出 多様性のある社会を実現

ニュージーランドは女性の政治参加や地位の向上に積極的に取り組んでいて、1893年に世界で初めて女性が国政選挙権を獲得した国としても知られています。

1933年に初めて女性議員が誕生して以降、子育てとの両立を目指す議員が増えてきたことから、1990年代には議会の敷地内に保育所が設けられたほか、議場での授乳も可能になりました。

現在では赤ちゃんを連れて登院した議員の赤ちゃんを議長みずから議場であやす姿もみられ、政界を中心に子育てしながら働くことへの理解が進んでいます。

去年はアーダーン首相や女性閣僚が相次いで産休を取得し、復職後は仕事と子育てを両立させていて、女性の社会進出をさらに後押しするものと期待されています。

一方、ニュージーランドは人口の4分の1以上が海外で生まれている、移民国家としても知られています。

去年1年間で、およそ4万8300人の移民を受け入れていて、ヨーロッパ系の人たちを中心に先住民のマオリの人たちや、アジアからの移民、中東からの難民などが互いの文化や宗教を尊重しながら社会を形成してきました。

ことし3月に南部クライストチャーチでイスラム教の礼拝所が襲撃され51人が死亡した事件では、国内各地のモスクなどに多くの市民が献花に訪れ、イスラム社会に連帯を示すなど多様性のある社会を大切にしています。