らゆる手尽くしたい」
武田防災相 被災地を視察

台風15号の影響で停電や住宅の損壊など大きな被害が出ている千葉県南部の館山市と鋸南町を武田良太防災担当大臣が視察し「あらゆる手を尽くして住民の支援に当たりたい」と述べました。

武田防災担当大臣はまず、館山市の金丸謙一市長とともに多くの住宅が屋根を吹き飛ばされた沿岸部の船形地区を訪れ、市内に大雨洪水警報が出される中、ブルーシートによる応急的な処置で雨漏りを防いでいる住宅などを視察しました。

このあと武田大臣は市役所を訪れ、金丸市長から、停電も長引く中、生活や健康面の不安が広がっている現状を伝えられたのに対し「地域の要望を丁寧に聴き、適切な支援を続けたい」と答えていました。

続いて武田大臣は、山あいを中心に停電が続く鋸南町を訪れ白石治和町長と面会し、必要な支援などの説明を受けました。

武田大臣は記者団に対し「強い雨が降る中で、住民には疲労もたまっていると思われる。停電が復旧しないのは歯がゆく感じるが、一日も早く住民が元の生活に戻れるようあらゆる手を尽くしたい」と述べました。また、「激甚災害」の指定については「あらゆる情報を集めて検討していきたい」と述べました。

“もう住めない” 雨で水浸しの住宅も

台風15号で多くの建物に被害が出た千葉県市原市では、16日の雨で住宅の雨漏りに悩まされる人も多く、建て替えを検討せざるをえないという人もいます。

市原市草刈の大野光子さん(74)は、築およそ50年の木造2階建ての住宅に夫と2人で暮らしていますが、今回の台風で屋根の一部がはがれ、穴が開くなど大きな被害が出ました。

屋根にはブルーシートを覆って応急的な処置をしていましたが、16日の雨で家じゅうの至るところで雨漏りがして、6畳の2つの部屋で畳が使えなくなったほか、ほかの部屋も水浸しになりました。

天井からしたたり落ちる水滴を受け止めるため、床にシートを敷いてバケツやごみ袋を並べましたが、天井が腐ったようにはがれている部分もあり、修理の相談をした業者からは解体して建て替えることを勧められたということです。

大野さんは「ここまでの被害が出るとは思いませんでした。この家にはもう住めないと思うので本当に困っています」と話していました。

報告ない13市町村も大きな住宅被害か

千葉県は、いまだに住宅の被害が報告されていない自治体のうち、館山市や鋸南町など13の市町村では大きな被害が出ている可能性が高いとみて、実態把握を急ぐことにしています。

千葉県内で台風15号によって被害を受けた住宅は16日午後4時半現在、33の市と町で合わせて2831棟に上っています。

一方、これまで被害に遭った住宅の数が報告されていない21の自治体のうち、少なくとも13の市町村については自治体職員らへの聞き取りなどから被害が出ている可能性が高いとみています。

このため千葉県は職員を派遣したり、市町村をサポートしたりして被害の全容解明を急ぐことにしています。

13の市町村の内訳は、館山市、木更津市、茂原市、旭市、鴨川市、香取市、神崎町、横芝光町、一宮町、長南町、御宿町、鋸南町、長生村と県内の広い範囲に及んでいます。

県危機管理課によりますと、中でも館山市や鋸南町などは大きな被害が予想されるとしています。

東電が初めての住民説明会

東京電力は台風15号の影響による停電が続く千葉県で、住民向けの初めての説明会を千葉市で開きました。

東京電力は16日、今も停電が続く千葉市緑区の2か所で、住民向けの説明会を開き、このうち誉田東小学校の会場にはおよそ100人の住民が集まりました。

東京電力の担当者は、謝罪したうえで、世帯によっては停電の解消が今月27日までかかるおそれがあることを説明しました。

これに対し、住民からは、停電しているのに東京電力のホームページに地名が記載されていないとか、停電が長引く具体的な理由を説明してほしいといった意見が相次いで出されました。

東京電力側は人手が限られる中、被害の規模が大きい、県の南部から復旧作業を進めていると説明して理解を求めましたが、住民からは落胆の声が聞かれました。

説明会に参加した60代の女性は「東電の説明は要領を得ず、知りたい情報は得られませんでした。とにかく1日でも早く復旧してほしいです」と話していました。

「東京電力パワーグリッド千葉総支社」の矢尾板剛史広報・渉外担当部長は「皆様に不便をおかけして本当に申し訳なく思います。安心した生活に戻れるように、一刻も早く電気を届けられるようにしていきたい」と話していました。