浜市 IR誘致を正式
表明 関東の自治体で初

横浜市の林文子市長はカジノを含むIR=統合型リゾート施設の誘致を進める方針を関東地方の自治体で初めて22日表明しました。ただ、住民や港湾事業者の間には治安の悪化などに対する懸念も根強く反発が予想されます。

横浜市へのIR=統合型リゾート施設の誘致は横浜港の「山下ふ頭」を再開発する計画の中で議論されていましたが、横浜市の林市長は、この2年余り一貫して「白紙」と繰り返し、慎重に検討する姿勢を示してきました。

この間、横浜市の求めに応じて国内外の12の事業者がIRの構想案を示していますが、住民からは治安の悪化やギャンブル依存症の問題を懸念する声も寄せられていました。

こうした中、林市長は22日の定例会見で「IRによりこれまでにない経済効果が見込まれ、人口減少などの課題への有効な対応策となる。ギャンブル依存症対策も整ってきており、横浜の発展にIRの実現が必要だ」としてIRの誘致を進める方針を表明しました。

そのうえで来月始まる市議会に誘致に関連するおよそ2億6000万円の補正予算案を提出し、2020年代後半の開業を目指す考えを明らかにしました。

IRをめぐっては大阪府と大阪市、和歌山県、それに長崎県が誘致を進める方針を表明していますが、関東地方では横浜市が初めてです。

ただ、住民の間では反対の声が根強くあるうえ、地元の港湾事業者でつくる「横浜港運協会」は、山下ふ頭にある倉庫などの立ち退きに応じない方針を示していて、反発が強まることも予想されます。

林市長は今後、市内18区で説明会を開き理解を得ていきたいとしています。
抗議の市民で一時騒然
横浜市がカジノを含むIRの誘致を進めると表明したことを受け、反対する市民などが市役所に抗議に訪れ、市長に説明を求める中、現場は一時、騒然としました。

22日の表明を受け、市役所にはIRの候補地「山下ふ頭」がある横浜市中区でギャンブル依存症の患者の支援を行っている医師らのグループや、主婦らで作る市民団体のメンバーなど数十人が訪れました。

訪れた人たちは、「市内のギャンブル依存症の治療や支援の態勢は不十分だ」などとして、反対署名およそ6000筆を提出するため、林市長への面会を求めました。しかし、市側はこれに応じられないとして市長の説明を求める市民らと職員が押し合いになるなど、現場は一時騒然とする事態となりました。

市民団体などは市長と面会できないままでは署名は手渡せないとして、署名簿は持ち帰り、代わりに抗議文を提出しました。このなかで、それぞれの団体は「IR誘致決定は市民の声を無視している」とか「IRは、税収増加の効果はあっても一時的で将来的に市民の負担になる」などと主張しています。
誘致表明までの経緯
横浜市が再開発を計画している横浜港の山下ふ頭は、およそ47ヘクタールの広大な土地があり、羽田空港や都心からのアクセスもよく、海外の事業者などからはカジノを含むIR=統合型リゾート施設の有力な候補地として注目されてきました。

林文子市長は当初「IRは横浜の将来に必要なものだ」と述べ、誘致に前向きな姿勢を示していましたが、おととし7月の市長選の前には「白紙」の立場だと慎重な姿勢に転じ、それ以降は「白紙」と繰り返してきました。

この間に横浜市は参入に前向きな事業者に誘致による経済効果やギャンブル依存症対策などの情報提供を求め、ことし5月には国内外の12の事業者から寄せられた構想案の概要を公表しています。

そして、6月には市が市内の4か所で構想案の説明会を開きましたが、反対の声が多くあがったほか、より多くの場所で説明会を開くよう求める声も出ていました。

一方、地元の経済界にはIRの誘致に期待する声があり、横浜商工会議所は先月、誘致の決断を求める要望書を林市長に提出しています。
全国状況と今後の流れ
カジノを含むIR=統合型リゾート施設をめぐっては、これまでに大阪府と大阪市、和歌山県と長崎県が誘致する方針を表明しています。

また、北海道や東京都などが誘致の是非を検討しているほか、千葉市も先月、民間企業などから構想案を募集する方針を示しています。

IRの整備法では施設の整備区域は当面、全国で3か所までとしていて、都心や羽田空港からのアクセスがよい横浜市が誘致に乗り出すことになり、自治体間の競争が一段と激しくなりそうです。

政府は今後、整備区域を決める基準となる基本方針を公表し、誘致を目指す自治体から「区域整備計画」の申請を募ることにしています。