金 財政検証
「安心だが経過観察必要」

社会保障審議会年金部会の委員を務める慶應義塾大学の駒村康平教授は、今回の検証結果について「所得代替率50%を保障するのが現行制度なので、その意味では年金財政は直ちに破綻することはないと安心していい」と述べました。

また、財政検証が、年金の「定期健康診断」と言われていることをなぞらえ、「『完全に健康です』とか『完全に病気です』とは、はっきりわからず、とりあえずは心配することはないが、引き続き、経過観察をしなければいけないという状況だ」と述べました。

一方、「年金は目減りしていく。特に基礎年金のみの人は非常に厳しいことになるかもしれない」と指摘しました。

そのうえで、「団塊ジュニア世代や就職氷河期世代には、非正規で国民年金にしか入っていない人がいて、将来、非常につらい厳しい生活になる可能性があるので、なるべく厚生年金に加入できるように誘導していく。パートやアルバイトの人に厚生年金の適用を徹底的に進めていくことが大事で、それによって厚生年金と国民年金両方もらえることになり、老後の不安が一部解消できるようになる」と述べ、厚生年金の適用拡大の必要性を強調しました。

そして、「年金が老後の生活の中心なのは変わらない。従来よりは給付水準は下がっていくことを踏まえて、自分の老後の準備を考えてもらいたい。給付水準が下がるのを穴埋めするため、長く働くのか、それとも貯蓄や私的年金に入るのかということを考えていかなければいけない」と述べました。

最後に、「公的年金は100年安心」か尋ねたところ、「専門家の間では『100年安心』という言葉使いはしていない。1回受けて『これで人生ずっと大丈夫です』という健康診断はない。5年に1度受けて、当面は大丈夫だというメッセージだと思ってほしい。5年おきに100年先を見て、状況が変わっていたら必要な修正をしていくという性格のものだ」と述べました。