池都知事
任期満了まで1年

東京都の小池知事の任期満了まで、30日であと1年になります。小池知事が次の都知事選挙に立候補するかどうかについて明言を避ける一方で、自民党の東京都連が選考委員会を立ち上げ、候補者の擁立を検討していて、今後、都知事選挙をめぐる動きが加速していきそうです。

東京都の小池知事は3年前の7月に舛添前知事の辞職に伴って行われた都知事選挙で初当選し、女性として初めて都知事に就任しました。

小池知事の任期は来年7月30日までで、あと1年になります。

これに併せて、小池知事はNHKのインタビューに応じ、保育所などの空きを待つ待機児童を半分以下にまで減らしたことや、国よりも厳しい規制を盛り込んだ都の受動喫煙防止条例を制定したことなどをこの3年間の成果として挙げました。

その一方で、次の都知事選挙への対応について、小池知事は「残りの1年は東京にとっても重要な1年で、東京オリンピック・パラリンピックというメガイベントが控えている。私自身の選挙よりは東京にとっていま必要なことが最優先課題であり、そこに集中していくという、その1点だ」と述べ、立候補するかどうかについて明言を避けました。

次の都知事選挙をめぐっては、自民党の二階幹事長が小池知事が再選を目指して立候補すれば支援する考えを示す一方で、小池知事と対立する自民党東京都連が「現在の都政は都民の信頼に値しない」などとして選考委員会を立ち上げ、東京都連として新たな候補者の擁立を検討しています。

このほか、都議会の主要会派では共産党が野党共闘による候補者の擁立を検討しています。

次の都知事は来年7月24日に開幕する東京オリンピック・パラリンピックの大会運営を担うことになり、今後、都知事選挙に向けた動きが加速していきそうです。

都知事選の日程の見通しは

公職選挙法で都知事選挙は任期満了の前の日から30日以内に実施することになっています。東京都選挙管理委員会は小池知事の任期満了に伴う都知事選挙の日程をまだ決定していません。

来年は東京オリンピック・パラリンピックが開催され、7月10日からは東京都内を走る聖火リレーが始まり、7月24日にはオリンピックの開会式が行われます。

都政関係者の間では、選挙が通常、日曜日に行われることやオリンピックに関連するイベントに与える影響を最小限に抑えるため、任期満了から規定の範囲で最も離れた日曜日、7月5日に都知事選挙の投開票が行われるのではないかという見方が出ています。

東京オリンピックの開会式は任期満了の前のため、このままいけば小池知事で迎えることになりますが、オリンピックの閉会式とパラリンピックは次の都知事選挙で選ばれた知事が担うことになります。

いずれにせよ、次の都知事選挙はオリンピック・パラリンピックの運営を担う都のリーダーを選ぶことになるため、通常以上に注目を集めることになりそうです。

自民党の対応も注目

次の東京都知事選挙に向けては、小池知事の去就とともに自民党の対応が注目されています。

小池知事は自民党の衆議院議員だった3年前、「改革が必要だ。どこで、誰が、何を決めているのか、不透明なところが多い」などと東京都連を批判して都知事選挙に立候補し、自民党や公明党が推薦した候補者を破って当選しました。

これ以降の3年間も対立は続いていて、東京都連や都議会の自民党は次の都知事選挙について「現在の都政は都民の信頼に値しない」などとして、小池知事が立候補した場合も支援しない方針です。ことし6月には新たな候補者の擁立を目指して、候補者の選考委員会も立ち上げています。

一方、小池知事には変化も見られます。安定した都政運営のためには自民党の協力が不可欠と考え、二階幹事長を通じ、関係修復を図ろうとしています。

小池知事と二階幹事長は新進党、自由党、保守党、そして自民党を通じて旧知の間柄で、たびたび会談しています。二階幹事長も都知事選挙への対応について「小池知事が立候補を決意したら、自民党も応援するのは当然だ」などと述べ、小池知事が再選を目指して立候補すれば支援する考えを示しています。

こうした二階幹事長の考えについて、東京都連の総務会長を務める萩生田幹事長代行は「二階幹事長は選考委員会の設置を了解し、『東京の皆さんがみずから早く立派な候補者を選ぶように』というのが直近の指示であり、これにのっとって選考委員会を運営していきたい」と述べ、候補者の選考を急ぐことにしています。

自民党をめぐっては、安倍総理大臣が今後、自民党の役員人事と内閣改造を行うものとみられていますが、党運営の要である二階幹事長を続投させるかどうかも、次の都知事選挙に影響を与えることになりそうです。

小池都政の3年と支持率

小池知事は「都政改革」を掲げて初当選し、おととし7月の都議会議員選挙では地域政党「都民ファーストの会」を率いて第1党に躍進させました。

しかし、それから間もない10月の衆議院選挙では「希望の党」を立ち上げたものの国政で勢力を拡大することができず、その後は都政運営に専念しています。

これまでの都政運営のうち、東京オリンピック・パラリンピックの競技会場の見直しでは整備費用は削減される見通しですが、会場の変更は行われず、準備の遅れや混乱を招いたという批判も出されました。

また旧築地市場の移転をめぐっては、移転先の豊洲市場で工事の不備が見つかり、移転そのものの見直しも検討されましたが、最終的に追加の対策工事を行ったうえで、当初の計画よりおよそ2年遅れた去年10月に移転が完了しています。

現在、小池知事は開幕まで1年を切った東京大会の準備に加え、大会終了後の2030年の将来像や具体的な政策目標などを盛り込んだ都の長期計画の策定に取り組んでいます。

こうした中、小池知事はことし5月、自身を支える重要なスタッフ、知事特別秘書に都の副知事や財務局長などの要職を歴任した村山寛司氏を起用しました。特別秘書に副知事経験者が就任するのは異例のことです。特別秘書はこれまで知事の就任時から小池氏を支え、一時、地域政党「都民ファーストの会」の代表でもあった野田数氏が務めていました。小池知事は都政や都議会に精通する村山氏を起用することで、就任当初はぶつかることが多かった都職員に対する影響力を強め、都政運営の基盤を安定させねらいがあるのではないかという見方も出ています。

NHKが今月21日の参議院選挙で投開票日の当日、投票を済ませた都内の有権者を対象に行った出口調査で、小池知事の都政運営を「評価する」と答えた人は「大いに(7%)」と「ある程度(52%)」を合わせて、およそ59%で半数を超えています。

自民 二階幹事長「一義的には都連の意見聞く」

自民党の二階幹事長は記者会見で、次の都知事選挙への対応について「小池知事は客観的にも、首都を代表する知事としてしっかり活躍していると思っている。あとは、都民がどれだけ支援するかを見極めて党として判断していきたい。一義的には、東京都連の意見を聞いていきたい」と述べました。

二階氏はこれまで、小池知事と会談を重ね、次の都知事選挙に、小池知事が立候補すれば、支援する考えを繰り返し示しています。

自民都連は知事批判

自民党東京都連の広報委員長を務める平将明衆議院議員は「候補者の選考委員会で小池知事を評価する声はない。築地市場の豊洲への移転では、築地に残りたいという人まで、結果的にだまされた形になっており、信用できるリーダーとは言えないと思っている人が多い」と批判しました。

そのうえで「二階幹事長からは『しっかり勝てる候補を選んでほしい』と言われているので、都連としては、都民の期待に応えられる、しっかりとした、選挙で勝てる候補を選んでいきたい」と述べました。

立民 候補者擁立へ検討急ぐ

立憲民主党の東京都連会長を務める長妻代表代行は「小池知事は格差や社会保障、治安、子育てなどの問題に一定程度の取り組みはされているが、もう少しメリハリがほしい。都民の暮らしを考えると同時に日本全体の発展も考える視点が必要だ」と指摘しました。

そのうえで、次の都知事選挙への対応について「立憲民主党の目指す社会像を具現化できる人に立候補してもらえればありがたい」と述べ、候補者擁立に向けた検討を急ぐ考えを示しました。