ンセン病元患者の家族
全面解決へ要求書提出

ハンセン病の元患者の家族は24日午後、根本厚生労働大臣に対し、全面解決に向けた要求書を提出しました。

この中では、国がこれまでに隔離政策による家族の被害を認めず、その回復のための施策を講じなかった責任を認め、真摯(しんし)に謝罪すること、謝罪広告などによって元患者の家族らの名誉回復を行い、被害を償うに足りる賠償や補償を行うことを求めています。裁判に参加していない人も含めて公平に被害回復を行うため、全員一律に補償する制度を作るよう求めています。

またハンセン病問題の解決を促進する「ハンセン病問題基本法」について、家族に対する差別の禁止などを明確にして法改正を行うよう求めています。

さらにハンセン病に対する偏見や差別を無くすための国の啓発活動について、元患者だけでなくその家族にも被害が及ぶことを前提にして抜本的な見直しを行うことや、家族関係の回復に向けて社会福祉士などを療養所や都道府県に配置すること、家族がみずから行う活動を援助する施策を講じることなどを求めています。

弁護団「今月中の協議開始は大きな成果」

ハンセン病の元患者の家族や集団訴訟の弁護団は、24日夕方、根本厚生労働大臣と面会したあと、記者会見を開きました。

弁護団の共同代表の徳田靖之弁護士は「大臣は新たな補償措置を検討するうえで、今月中に元患者の家族と厚生労働省の担当者との実務協議を始めると明言し、大きな成果があった」と振り返りました。

そのうえで補償措置の内容について、「金額は今後の交渉となるので具体的にいくらとは言えないが、補償の対象については、親子や配偶者、それに兄弟や姉妹という一定の範囲の家族であれば、一律に含める仕組みを求めていきたい」と話しています。

さらに、依然として残る差別や偏見を解消していくため、これまでの啓発活動の何が不十分だったのかという点を検証する専門家会議を設けるよう求めました。

両親が熊本県の療養所に入所していた、鹿児島県奄美市の奥晴海さんは(72)「根本大臣のことばは丁寧なものだったので信じている。いまだに名前も顔も出せない原告がいる難しさはあるが、ここまで来られたことに感謝したい」と話していました。

補償額など協議検討へ 厚労相

ハンセン病患者の家族への差別被害を認めた集団訴訟の判決を受けて、根本厚生労働大臣は、元患者の家族らと面会し、家族に対する新たな補償制度を創設するため、今月中に、原告の弁護団との協議の場を設け、補償額などの検討を始める考えを示しました。

根本厚生労働大臣は、24日夕方、厚生労働省で元患者の家族ら原告側と面会し、政府として、改めて謝罪しました。

そのうえで、「訴訟に参加された方も、参加されなかった方も含めて新たな補償措置を講じる。そして、偏見や差別を無くすための普及啓発活動を強化することに、しっかり取り組みたい」と述べました。

このあと根本大臣は記者団に対し、新たな補償制度を創設するため、今月中に厚生労働省と原告の弁護団による協議の場を設け、対象とする範囲や補償額などの検討を始める考えを示しました。

そのうえで、「いくつかの論点があり、早急に詰めていきたい。過去の補償は、議員立法で対応してきた経緯があり、今回も議員立法は1つの有力な選択肢だ。超党派の国会議員としっかり連携しながら、どういう形がいちばん望ましいか考えていきたい」と述べました。