給医」初公表も
3500人以上認められず

国は、大学病院で診療をしながら、給与が支払われない「無給医」が2000人以上いたことを公表しました。一方、今回の調査では3500人以上が「自己研さん」などを理由に給与が支払われていなくても「無給医」と認められておらず、追加の調査を求める声もあがっています。

文部科学省は、全国108か所の医学部や歯学部の付属病院を調査し、全国50の大学病院に2191人の無給医がいることを初めて公表しました。

その結果、これら50の大学病院は、今後、給与を支払うなど、改善策を講じることを明らかにしました。

厚生労働省も賃金の不払いは違法だとして、今後、改善されない場合には、法律に基づいて、是正勧告などを行う考えを示しました。

一方で、今回の調査では、無償で診療にあたっても、自己研さんや自己研究が目的であるとして、無給医と認められなかった人たちは、3594人に上りました。

調査では、国が求めていたように、当事者の医師本人に直接ヒアリングしたところは、全体の4割ほどにとどまりました。

当事者の医師からは、大学によって、調査の基準や手法にばらつきがあり、実態を正確に把握できていないとして、追加の調査が必要だと指摘する声も上がっています。

認められなかった医師「改善の兆しない」

今回の調査で、「無給医」と認められなかった男性医師の1人は、東京にある日本医科大学付属病院で働いています。この医師は、フルタイムで働き、深夜まで診療にあたっていますが、給与は支払われていないといいます。

大学側は、今回の調査のあとも一部の医師を除き、無給であることに合理的な理由がある医師については、今後も給与を支払う予定はないと回答しています。

男性医師は「大学は医師個人に調査をしておらず、現在も改善の兆しがありません。私が知るかぎりでも、大学が回答した人数以上に無給医がいます。大学が自助努力で改善するとは思えず、行政には強く指導してほしいです」と訴えていました。

医師ユニオン「無給医ゼロへ改善指導を」

全国医師ユニオンの植山直人代表は「今回の調査は大学の管理者まかせの調査で、医師個人へのヒアリングが行われていないケースも多く、この調査で公表された無給医の数は氷山の一角だ」と指摘しました。

そのうえで、「自己研さんを理由に、『給与が支払われなくても問題がない』とされた医師もいるが、患者からみれば診療行為であり無給であることはおかしい。国はより詳細な調査をするとともに、無給医がゼロになるまで、改善されるよう指導し続ける必要がある」と話していました。