党首討論 1年ぶりに開催 「年金」「解散」は

去年6月以来、1年ぶりの開催となる党首討論は、19日午後3時から衆議院第1委員室で、安倍総理大臣と、▽立憲民主党の枝野代表、▽国民民主党の玉木代表、▽共産党の志位委員長、▽日本維新の会の片山共同代表が出席して行われました。

立民 枝野代表「不安に向き合っていないと怒り」

立憲民主党の枝野代表は、老後の資産形成で「およそ2000万円必要になる」などとした金融庁の審議会の報告書をめぐり、「安心ばかりが強調され、不安に向き合っていないことに多くの皆さんが怒っている。不安を持っている人に正面から向き合うことが求められている」と批判しました。

これに対し安倍総理大臣は「大きな誤解が生じた。大切なことは、年金生活者の生活実態は多様で、その実態にしっかり対応していくものになっているかどうかだ。そのために行ったのが平成16年の制度改正であり、『マクロ経済スライド』を導入し、平均寿命の延伸や被保険者の増減に対応するようになった。私たちは現実に向き合い、説明しながら制度の改正を行っている」と述べました。

国民 玉木代表「財政検証をなぜ速やかに出さないのか」

国民民主党の玉木代表は、公的年金の将来的な支給水準の見通しを示す財政検証について「安倍総理大臣は『年金制度の持続性は担保されている』と国会でも何度も答弁したが、その根拠がよく分からない。新しい財政検証をなぜ速やかに出さないのか」と指摘しました。

これに対し安倍総理大臣は「財政検証をしている最中で、私自身はまだ報告を受けてはいない。いつ出すかは、政治、政局とはかかわらず、しっかりと検証して、報告してもらいたい」と述べました。

また玉木代表は、金融庁の審議会の報告書について「忙しいと思うので全部付箋を付けてきた」と述べ、安倍総理大臣に手渡そうとしましたが、安倍総理大臣が「すでに読んでいるのでもう結構だ」と玉木代表に返す一幕もありました。

共産 志位委員長「高額所得者の年金給付の伸び 抑制を」

共産党の志位委員長は「『マクロ経済スライド』を続けて、さらに貧しい年金にすることはばかげている。高額所得者の年金給付の伸びを抑制する仕組みを入れ、毎年およそ1兆円の保険料収入を増やし、年金の財源にすることを提案する」と述べました。

これに対し安倍総理大臣は「『マクロ経済スライド』を廃止して、将来の年金受給者の給付を減らないようにするためには7兆円の財源が必要であり、簡単には出てこない。『マクロ経済スライド』をやめてしまうという考え方はばかげている」と述べました。

維新 片山共同代表「解散するのか」

日本維新の会の片山共同代表は、夏の参議院選挙に合わせた「衆参同日選挙」をめぐって「国会もまもなく終わるが、この国会で解散するのか、しないのか」とただしました。

これに対し安倍総理大臣は「大変重要な質問だが、『解散』ということばは私の頭の片隅にはない。頭の片隅にはないし、片隅にもないと言ったほうがいいかもしれない」と述べました。

さらに衆議院の解散の時期について「衆議院の任期は再来年の10月まである。私の自民党総裁としての任期は9月までだ。私自身が解散する可能性は9月までということになるのだろう。次の方はあと残りの1か月の中で判断されるだろうと考えているが、まずは、総理大臣としての責任を果たしていくことに全力を尽くしたい」と述べました。

菅官房長官「総理の言われたとおり」

菅官房長官は午後の記者会見で「総理からは、年金制度の持続可能性や政権交代後の雇用者数の増加などについて丁寧な説明がなされたのではないかと思う」と述べました。

また、記者団が、日本維新の会の片山共同代表以外に衆議院の解散の有無を迫る場面がなかったことについて質問されたのに対し、「政府の立場で答えることは控えたい」と述べました。

さらに、安倍総理大臣が「『解散』ということばは頭の片隅にもない」と述べたことへの受け止めを質問されたのに対し、「総理は非常に正直な方なので、言われたとおりではないか」と述べました。

自民 二階氏「解散 幹事長の頭になくてどうする」

自民党の二階幹事長は記者団に「安倍総理大臣は誠実に答え、安定感があることを国民に印象づけたのではないか。野党側からもっと内容のある充実した攻めの討論があってしかるべきだ。もの足りなかった」と述べました。

また衆議院の解散をめぐり、安倍総理大臣が「頭の片隅にもない」と述べたことについて「われわれは常々考えており、解散が幹事長の頭の隅にもなくてどうするのか。自民党はいかなる事態にも準備しておかないといけない。野党は本気で解散の準備をしていないのではないか」と述べました。

自民 岸田氏「国民がどう受け止めるかだ」

自民党の岸田政務調査会長は記者会見で「選挙の前にはかなりの頻度で内閣不信任決議案が提出されてきた歴史がある。もし野党が出さなければ少ないほうの例になると思う。国民がどう受け止めるかだ」と述べました。

立民 枝野氏「逃げの姿勢がはっきりした」

立憲民主党の枝野代表は記者団に「いつもどおり『聞かれたことには答えないで、聞かれていないことを一生懸命話す』という、正面から向き合わない逃げの姿勢がはっきりした」と述べました。

そのうえで、安倍内閣に対する不信任決議案の提出について「きょうのような答弁では、衆議院でもいろいろ考えないといけない。予算委員会からも逃げており、衆議院の姿勢を示すことについて、検討する必要があるが、まずは問責決議案を通じて、参議院での姿勢をはっきりさせることを先行させなければいけない」と述べました。

記者団が「党首討論の中でなぜ衆議院の解散に触れなかったのか」と質問したのに対し、枝野氏は「普通の有権者の関心が高いテーマだとは思っていないし、どうせ本当のことを言わないことを聞いてもしかたがない」と述べました。

国民 玉木氏「議論にならなかったのは残念」

国民民主党の玉木代表は記者団に「国民が心配している『年金制度の持続性は本当に大丈夫なのか』という議論をしたかったが、安倍総理大臣はだらだらと長くしゃべり、議論にならなかったのは残念だ。『年金が100年安心だ』というバックデータを出さずに、参議院選挙に突入しようとする姿勢は、選挙の争点としても取り上げたい。不誠実で、大事なことを国民や国会から隠す政権の姿勢は、何らかの形で厳しく問うていかなければならない」と述べました。

公明 山口氏「非常に物足りない」

公明党の山口代表は記者団に「野党側は現行の年金制度を批判していたが、不安をあおるような議論はいかがなものか。年金制度は、安倍総理大臣の説明で、改善されていることが伝わったのではないか。国際社会の課題などもっと骨太の議論を期待していたが、残念で、非常にもの足りない」と述べました。

衆議院の解散をめぐり安倍総理大臣が「頭の片隅にもない」と述べたことについて「総理大臣の立場であるとかないとか明言しないと思う。従来どおりのことばだった」と述べました。

共党 志位氏「予算委員会の開催を」

共産党の志位委員長は記者会見で「『どうやって、減らない年金にするのか』『財源をどこに求めるのか』という提案をしたが、安倍総理大臣からは全く答えがなかった。『ばかげた政策』と繰り返していたが、『貧しい年金をもっと下げよう』というのだから『マクロ経済スライド』こそまさに『ばかげた政策』ということがはっきりした。党首討論で今の国会を終わりにしてはだめで、野党が一致して予算委員会の開催を求めていきたい」と述べました。

維新 片山氏「解散は片隅ではなく頭の真ん中に」

日本維新の会の片山共同代表は記者会見で「衆議院の解散は、みんな聞きたいけど言わないから私は聞いた。『頭の片隅にない』ということで、真ん中にあるそうだ。うそだろうけど分からない。楽しんでいるな。5分という時間は短いが、党首討論はそれでも良さがあり、時間を長くしないなら回数を増やせばいい」と述べました。