山議員「進退判断を」
糾弾決議を可決

北方四島を戦争で取り返すことの是非などに言及した丸山穂高衆議院議員を糾弾し、みずから進退を判断するよう促す決議が衆議院本会議で全会一致で可決されました。一方、丸山議員は6日夜、ツイッターに「任期を全うし前に進んでまいります」と書き込み、議員辞職を重ねて否定しました。

6日の衆議院本会議では、北方四島を戦争で取り返すことの是非などに言及した丸山穂高議員に対し、自民党や立憲民主党、それに丸山氏が所属していた日本維新の会などが共同で提出した「糾弾決議案」の採決が行われ、全会一致で可決されました。丸山氏は本会議を欠席しました。

決議では「丸山氏は、議員としてあるまじき数々の暴言を繰り返し、我が国の国益を大きく損ない、衆議院の権威と品位を著しく失墜させた」と批判しています。

そのうえで、「国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない」と糾弾し、「ただちにみずから進退について判断するよう促す」としています。

衆参両院の事務局によりますと、議員に対する「糾弾決議」は初めてだということです。

一方、丸山氏は、6日夜、みずからのツイッターに「仔細は議運への提出文書の通り、行蔵は我に存し毀誉は他人の主張にて。その任期を全うし前に進んでまいります」と勝海舟の言葉を引用し、議員辞職を重ねて否定しました。

元島民「決して許されない」

北方領土の元島民らでつくる「千島歯舞諸島居住者連盟」の河田弘登志副理事長は北海道根室市でNHKの取材に対し、「糾弾決議が精いっぱいだったのかと思うが、丸山議員の言動は四島にいるロシア人とお互いに積み重ねてきた信頼を一瞬にして壊す行為で決して許されないものだ」と述べ、丸山議員を強く批判しました。

そのうえで「元島民は戦争によって追われたふるさとの返還を願って70年以上活動してきた。起こした問題の重さを考え、自分で身の処し方を考えてほしい」と述べました。

北海道 鈴木知事「極めて重い決議」

北海道の鈴木知事は札幌市で記者団に対し「丸山議員の一連の発言などは到底理解できるものではなく、大変残念だということに変わりはない。衆議院の全会一致で前例のない糾弾決議が可決されたことは極めて重い。政治家として判断することが必要だ」と述べました。

また、7日、北方領土の早期返還を要請するため安倍総理大臣と会談することについて触れ、「丸山議員の一連の発言が日ロ間の相互理解や交流事業などに影響を与えかねないという懸念の声があることを安倍総理大臣には伝えざるを得ない」と述べました。

自民 森山氏「決議を重く受け止めよ」

自民党の森山国会対策委員長は記者団に対し、「このような決議をしなければならないのは極めて遺憾だが、全会一致で可決できたのは意味のあることだ。議員辞職するかどうかは、まさに、丸山氏みずからの判断であり、決議を重く受け止めてほしい。丸山氏は、まだ若く、能力のある方なので、反省すべきは反省し、しっかり頑張ってほしい」と述べました。

立民 辻元氏「『詰んだ』辞職しか逃げ道ない」

立憲民主党の辻元国会対策委員長は党の代議士会で「事実上の議員辞職勧告決議ではないか。将棋で言えば、丸山議員は『詰んだ』ということだと思うので、速やかに辞職するしか、逃げ道はない。全会一致での非常に重いものなので、意味をしっかりと受け止めてほしい」と述べました。

立民 手塚氏「憲政史上、初めて糾弾」

衆議院議院運営委員会で野党側の筆頭理事を務める立憲民主党の手塚仁雄氏は記者団に対し、「衆議院として『国会議員としての資格がない』と憲政史上、初めて糾弾をしたもので、議員辞職勧告決議と変わらない内容を全会一致で可決できたことを大変、重く受け止めている。きょうの結論を本人は重く受け止めるべきだ」と述べました。

国民 玉木氏「出処進退 判断を」

国民民主党の玉木代表は東京都内で記者団に対し、「事実上の議員辞職勧告決議だと思っている。戦争によって、ふるさとを奪われた人たちに対する発言のほか、現地で飲酒をして、さまざまな問題を起こしており、外交にも少なからぬ影響を与えている。丸山氏には決議の重みをしっかりと受け止めてもらい、出処進退は自身で判断されることを期待したい」と述べました。

公明 斉藤氏「決議の趣旨 自覚すべき」

公明党の斉藤幹事長は記者団に対し、「与野党で合意して決議を可決することができたのは大変よかった。決議は、丸山氏に、みずからの進退について、直ちに判断するよう促すもので、本人が決議の趣旨を自覚すべきだ」と述べました。

共産 志位氏「速やかに辞職を」

共産党の志位委員長は記者会見で「『国会議員としての資格なし』と断言し、『進退を決せよ』ということだから、事実上の議員辞職勧告決議だ。 全会一致で、衆議院の意思として可決されたことは大変重く、速やかに辞職することを求めたい。丸山氏を辞めさせないまま除名にした日本維新の会の政党としての責任は大変重い」と述べました。

維新 松井氏「早く身を処した方がよい」

丸山議員が所属していた日本維新の会の松井代表は大阪市役所で記者団に対し、「可決は当然のことだ。衆議院の意思がはっきりと示された。国会議員の資質がないという意思を示されているのだから、自身のためにも早く身を処した方がよい」と述べました。

維新 馬場氏「このような議員を選んだ、わが党の責任も」

日本維新の会の馬場幹事長は記者団に対し、「衆議院で決議がなされたことは非常に重大なことで、本人も重大性を認め、しかるべき行動をとっていただきたい」と述べました。そのうえで、「丸山氏の一連の言動について、元島民の方を含め、『ビザなし交流』で、日ロ友好の促進をされている皆様に改めて心からおわびを申し上げたい。このような議員を選んだ、わが党の責任について、おわびを申し上げたい」と述べました。

社民 吉川氏「平然と戦争発言 危機的」

社民党の吉川幹事長は記者会見で「総理大臣になれるのは、国会議員だけで、その資格を持つ人が平然と戦争という言葉を使って、『島を取り戻す』と発言するのは非常に危機的な状況だ。糾弾決議にあるように国会議員の資格はないと言わざるを得ない」と述べました。

野田前首相「弁明 なおさら心証悪く」

衆議院の会派「社会保障を立て直す国民会議」の代表を務める野田 前総理大臣は記者会見で、「丸山氏から弁明書が出されたが、反省より、反論が強く出ている感じで、なおさら心証を悪くしたのではないか。残念だが、やむをえない決議で、深く反省し、重く受け止めていただきたい」と述べました。