ージス調査データ誤り
「信頼性を…」防衛相が陳謝

新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備先としている秋田市に関する調査データに誤りがあった問題で、岩屋防衛大臣は6日、国会で陳謝したうえで、引き続き配備への理解を求めていく考えを示しました。

新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備をめぐり、防衛省は先月、配備先としている秋田市と山口県萩市の自衛隊演習場周辺で、レーダー電波が住民に影響を与えることはないとする調査結果を発表しましたが、5日になって秋田市の予定地とほかの候補地を比較した地形に関するデータに誤りがあったことを明らかにしました。

この問題で岩屋防衛大臣は、衆議院安全保障委員会で「断面図の高さと距離の縮尺が異なっていたことに気付かずに計算した人為的なミスで、調査結果全体の信頼性を失墜させかねないもので大変申し訳ない」と陳謝しました。

そのうえで「ほかの国有地では、これまでのデータに鑑み、いずれも配備候補地にはなりえないと考えているが、速やかに対応を精査し地元に説明したい」と述べました。

そして岩屋大臣は、秋田市の予定地はほかと比べて配備に適しているとして、引き続き配備への理解を求めていく考えを示しました。

統幕長「信頼性損ないかねず」

自衛隊トップの山崎幸二統合幕僚長は6日の定例記者会見で「これまでの検討や調査結果全体に対する信頼性や信ぴょう性を損ないかねないものだと思っている。地元に対しては、しっかりとしたデータにもとづいて丁寧な説明をしていきたい」と述べました。

今回の調査の経緯

今回の調査は「イージス・アショア」の配備先の候補地として、防衛省が秋田市と山口県萩市の自衛隊の演習場を挙げたことについて、地元からほかに候補地がないかさらに検討すべきだという声が上がったことなどから行われました。

防衛省は、イージス・アショア2基で日本全域を効果的に防護するには秋田県付近と山口県付近に配備する必要があるとしたうえで、敷地として1平方キロメートル以上の面積が確保できることや、なるべく平らな場所であること、それに日本海側に位置していることの3つの条件で、これに当てはまる国有地を抽出しました。

その結果、秋田市の候補地の付近では、秋田県内の9か所、青森県内の6か所、山形県内の4か所の国有地と自衛隊の演習場、あわせて19か所が抽出され、調査が行われました。

この中では、レーダーを放つ際に障害物となる山などが周囲にないかや、電力や道路などのインフラ環境が整っているかなどを確認したということです。

データ誤り なぜ起きた?

今回の調査結果のうち防衛省のデータに誤りがあったのは、レーダーの運用に影響する周囲の山など遮へい物の状況を調べた項目です。19か所の調査地のうち、9か所が対象となりました。

防衛省によりますと、調査ではまず、防衛省の担当者が調査地から周囲の山を仰ぎ見た際の角度、「仰角」を調べるため、コンピューターのソフトを使って山の断面図を作りました。

この断面図では、候補地を基点とした山頂までの高さと水平方向の距離のそれぞれの縮尺が異なっていましたが、担当者がこれに気付かないまま計算していたということです。

その結果、調査地から見た周囲の山の「仰角」がいずれも実際より大きくなっていたということです。つまり、レーダーの遮へい物となる山の高さが、実際よりも高い設定で調査が行われたことになります。数値のずれが最も大きかったのは、秋田県男鹿市の国有地で、防衛省の当初の説明では仰角が15度とされていましたが、実際には4度でした。

レーダーの運用に支障が出る仰角は、おおむね10度以上とされていて、防衛省の当初の説明では、9か所の調査地はいずれもこの角度を上回るため適地にならないとされていました。

しかし、今回、データの誤りが判明し、修正が行われた結果、4か所では仰角が10度ちょうどかそれ以下となり、山の高さがレーダーの運用の大きな支障にはならないことがわかりました。

この4か所について、防衛省は周辺の施設との距離やインフラ環境など、ほかの条件から配備には適さないとしていて、「新屋演習場以外、配備に適した場所はないとの結論に変わりはない」としていますが、今回、調査の根拠となるデータに誤りがあったことで、防衛省の調査の信頼性が大きく問われる事態となっています。

立民 逢坂氏「先に設置場所決めたのでは」

立憲民主党の逢坂政務調査会長は党の会合で、「勘違いや数値の取り間違いではない。明らかに、設置する場所を決めておいて、それに合わせて数字をあとから決めたのではないか。こんな人たちを相手にまともな政策議論は出来ない」と述べました。