国産ヒラメ等検査強化へ
「対抗措置ではない」政府

韓国から輸入するヒラメなどの水産物について厚生労働省は輸入する際の検査を強化することになりました。韓国が福島県などの水産物の輸入を禁止していることへの対抗措置ではないかという指摘については「食中毒を防ぐ取り組みだ」として否定しています。

厚生労働省によりますと、日本国内では韓国産のヒラメによる食中毒が年間10件程度、報告されています。

韓国産ヒラメをめぐっては、現在、輸入の届け出の20%について食中毒を起こす寄生虫の検査が行われていますが、厚生労働省は来月から検査を強化し、検査対象を40%に引き上げると発表しました。

韓国政府は原発事故による汚染水問題を理由に福島など8つの県の水産物の輸入を禁止していますが、その対抗措置ではないかという指摘について、厚生労働省は「食中毒を防ぐ取り組みだ」として否定しています。

今回の検査強化では、ほかにも生で食べる冷蔵むき身のアカガイやトリガイ、ウニなどを、国を限定せず対象としていて、このうちウニはアメリカ産や中国産などが多くを占めています。

官房長官「国民の健康を守る観点から」

菅官房長官は午後の記者会見で「今回の措置は、近年、対象の輸入水産物を原因とした食中毒が発生しており、食中毒が増加する夏場を控え、国民の健康を守る観点から行うものだ。こうした輸入食品の検査強化はこれまでも随時行われてきている」と述べました。

また、記者団が「原発事故を理由に韓国政府が続けている水産物の輸入禁止への対抗措置か」と質問したのに対し、「国民の健康を守る観点から行うものであり、対抗措置ではない。韓国側から特段の反応があったとも聞いていない」と述べました。

韓国外務省「必要な措置を検討」

韓国外務省は30日午後、コメントを発表しました。この中では、「日本政府は、食中毒など食品安全上の懸念がある一部の水産物に対する検査を強化するという方針だと把握している」との見解を示しました。

また、韓国政府がとっている福島県などの水産物の輸入禁止措置に対する対抗措置だとの見方については言及しなかったものの、「韓国に及ぼす影響など、動向を綿密に注視しながら、必要な措置を検討していく」とコメントしています。